「家族」に注目したサイト作り

 八木大造氏は、中高年が多いという筆まめ特有のユーザー層に着目。シニアビジネスの事業化に向けて、すでに事業として成り立っている企業とパートナーシップを組もうと思い立った。
◇     ◇


 シニアビジネスにも2種類があると考えた。ひとつは「シニアの懐だけに狙いを定めた」ビジネス。もう一つは「社会への恩返しとして、幸せを提供する」ビジネス。八木氏の目指したビジネスは後者だ。白羽の矢を立てたのはシニアマーケティングを行っているパワーウィングスだった。利用者はアンケートに答えることで、同社のコミュニティサイト「シニアウィングス」を無償で利用できる。

 企画段階では「理念を貫きながら民間企業としてのビジネスが成り立つかどうか」という不安がよぎった。しかし、「パワーウィングスと一緒に企画を練り上げる段階で、成功するに違いない」と確信するに至った。

 これまで、企業はニュータウンやハネムーンなど、ライフスタイルの提案で一大ムーブメントを起こしてきた。圧倒的に人数が多い団塊世代で何かが流行れば、スタンダードになる。「もし人口が多い世代で流行ったことが次のスタンダードにつながるならば、団塊ジュニア世代も当てはまる」。両者が「家族」である可能性は大きい。そこから、「シニア」だけでなく、ジュニア世代を巻きこめる「家族」というくくりにたどり着いた。

 2006年11月のパワーウィングスとの業務提携を経て、今年3月に家族支援の「ファミリーウィングス」を開設。家族へのマーケティングを行いながら、利用者には無償でコンテンツを提供するシニアウィングスの姉妹サイトだ。1年間は会員を増やす期間と位置づけている。いずれは物販などにもつなげていく方針だ。「声が上がってきたら、本当に必要なモノだけを扱いたい」と考える。

 今後はサービスを充実させる計画だ。「シニアウィングスではPCの使い方をシニア同士で教えあう文化ができた」。ファミリーウィングスでは、リモートデスクトップツールを提供し、別居の娘が実家の母にパソコンの使い方を教えるなどで会話が生まれるような仕組みを作りたいと構想を語る。NGOとの提携なども面白いと考えている。シニアウィングスはアンケートに答えるとポイントを進呈する。貯めると金券にも交換できるが、大半のユーザーは交換せずにボランティアに寄付する。「ファミリーウィングスでもこの文化を広げたい」としている。(鍋島蓉子●取材/文)