最近、人間の赤ん坊のような子ども型ロボットが研究成果として発表され、話題を呼んだ。「子ども」にはたくさんのセンサが埋め込まれていて、それらからの情報によって、体のさまざまな細かい動きを制御するようになっているようだ。

 ロボットは空想の世界で誕生したものだが、大人も子どもも大いに魅力を感じるらしい。昨今は動物や人間の形に近いものから自律走行するタイプまで、多様なロボットが出現し、その存在がより身近なものになってきた。

 小学校高学年の児童を対象にして、人間型の小さなロボットを使ったセミナーを、この5月までの1年間、毎週1回開講した。ロボットを動かす命令を組み込んだプログラムをパソコンで作成し、それをロボットに転送して制御する。

 子どもたちはプログラム作りに熱中する。そして、ロボットが指示した通りの動作をすると歓声をあげる。このセミナーはプログラムの作成を通して論理思考力を養うのが目的であるが、ロボットは子どもたちの科学技術への関心を高めるのにも有効であろう。

 ロボットには、教育や娯楽あるいは癒しを目的にしたものから、産業用の極めて実用性が高いもの、さらには宇宙用や海洋用の高度なものまで、その目的や種類は千差万別である。ロボットは多様性が大きな特徴といえよう。

 ロボットの開発にはさまざまな科学技術が必要である。昨今、特に進歩の著しいマイクロコンピュータとその周辺技術やセンサ技術、人工知能や人間科学の研究成果などと連動して、ロボットの開発が容易になり、機能や性能も向上した。

 ロボットを支える主要な技術は、メカ(機械)、エレクトロニクス、情報技術(IT)であり、これらの融合によって初めてロボットの製作が可能となる。これらの技術はわが国が最も得意とする分野であり、ものづくり産業を根底で支えているものである。

 ロボットの開発がすでに産業の一分野を形成しているかどうかは明らかではないが、特殊目的の高度なものから、人と共生できる身近なものまでを含めると、近い将来、重要な産業になると考えてよいだろう。

 ロボット産業はその多様性から、中小企業やベンチャー企業でも容易に参入でき、知恵を出せば独自のものを開発できる。しかも、異なる業種の連携が効果的な分野でもある。組み込み技術や人工知能などでIT産業も大いに貢献できる。

 ロボット産業の振興を期待したい。