IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手

<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>42.竹本容器(下)

2008/04/07 20:45

週刊BCN 2008年04月07日vol.1230掲載

大規模リプレースをITCが説得

 プラスチック容器の製造・販売会社である竹本容器(竹本笑子社長)は、1953年にガラス容器の販売を主体とした会社として設立、60年に東京・浅草の合羽橋に店舗を開店したという歴史をもつ。58年間で、小さな店から取引先約5000社を抱える年商約80億円の企業へと変遷した。

 この成長を支えたのは「IT経営」だったといっても過言ではないだろう。90年代からITを導入し、リプレースを重ねてきた。その総仕上げとして、同社が発注先に課したのは「すべてを繋げる」(菅井信二・常務取締役)。04年からは、企画提案、受注、製造、印刷、倉庫管理、物流、納品に至るまでの作業処理を一元化すべくリプレース作業を開始した。

 当時、同社には本社の経理業務と販売管理・自動倉庫を結ぶシステムはあった。しかし、「いつどこで何が売れているかを瞬時に把握できず、作り置きができない」(菅井常務)ことから、在庫管理や納期をスピードアップするのに限界を感じていた。この任を受けたITコーディネータ(ITC)でITベンダー技術者の加藤秀明・ジーベース情報システム社長は、竹本容器の営業担当者が「受注をさばくシステムの構築から着手」(同)したうえで、課題となっていた物流の短縮化に手を打った。各業務を一元化するため住商情報システムのERP(統合基幹業務システム)「ProActive Gv for Web」を選択し、リプレース作業を開始した。

 竹本容器は一般的な製造業と異なり、出荷直前まで引き当てせず「在庫はフリー」とする方式などが「独特でカスタマイズは不可欠だった」(加藤氏)。そこで加藤氏は、菅井常務とともに中長期的なシステムのグランドデザインを描き、会社経営陣に説明。竹本容器として今後の武器となる独自ERPシステム構築の了承を取り付けた。システム構築を担当した住商情報システムの八木基文・営業推進部部長付は、「加藤さんがいたので、大きなカスタマイズとなる案件であっても、業務とシステムの橋渡しが効果的かつ的確となり、安心してプロジェクトを遂行することができた」と、ITCの役割の大きさを実感したという。

 「ProActive Gv for Web」をベースに「要件定義フェーズ」を9か月間かけて実施。「毎晩夜遅くまで、竹本容器さんや加藤さんと議論した」(八木部長付)ことで、最終的にはフルカスタマイズに近いシステムとして順次導入した。

 菅井常務は「コンピュータに仕事を合わせると特徴を失う。無理な注文をしたが、稼働から徐々に効果が出ている」と喜ぶ。加藤氏は「ITを進化させるのに費用はかかるが、企業の成長に合わせてITも進化させるべき。その分どんな効果を生むかを説明する重要性は高い」と、さらなるグレードアップを検討中だ。(谷畑良胤●取材/文)

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