2か月間で迅速にIT基盤構築

 15人ほどの社員で静電気除去装置の開発・販売を展開するAfje(斎藤敏男代表取締役)は、設立2か月前にITコーディネータ(ITC)岡田怜氏をCIOとして招き入れ、2006年冬ITインフラの整備を依頼した。

 岡田氏の中小企業のIT支援方針は独特で、「最低限のITインフラを可能な限り短期間でコストをかけずに納入する」がコンセプト。業務効率化や生産性向上のための高度な情報システム提案はしない。中小企業が求めているのは、「そんな格好良い提案ではなく、インターネット環境の整備や欠かせない業務アプリケーションの納入程度」と考えているからだ。

 その方針通り、Afjeの場合でも自身が考える“最低限のITインフラ”づくりを急ピッチで進めた。具体的な項目は4つ。(1)ネットワークインフラの構築(2)グループウェアの導入(3)ホームページの作成(4)会計・給与パッケージソフトの導入だ。

 岡田氏は短期間で導入が可能なITインフラをこの4分野に絞り、導入する機器・ソフトと業者の選定を自ら行った。グループウェアは、定年退職したリコーの子会社であるリコー関西が開発する「JobMagic」を採用。会計・給与パッケージは、Afjeの親会社であるFISAが導入しているという理由から、弥生製品を選んだ。支援した内容は細かく、例えばホームページの作成では、仕様書の作成や業者選定だけでなく、ホームページに掲載する写真の撮影立ち会いや、検索エンジンの結果表示画面でAfjeのWebサイトが上位に掲載されるようにSEO(検索エンジン最適化)対策にも取り組んだ。約2か月間の構築作業を滞りなく進め、無事にすべてが稼働。現在でもトラブルは1件もないという。

 そして、今新たなプロジェクトが始まっている。Afjeが今年3月に設立した子会社で、プラスチック成形で使う「ホットランナー」と称する装置を開発・販売するアフジェソリューションのITインフラ整備だ。本社はAfjeの東京営業本部オフィス内に設けている。Afjeの本社は茨城県にあるが、これも5月下旬に東京営業本部に移す予定で、新会社と本社の移転に伴うITインフラの増強を急ピッチで進めている最中だ。

 アフジェソリューションの斎藤勝常務取締役は、岡田氏の功績をこう評価する。「ITに詳しい人材がいないなか、手厚く支援してくれ、トラブルないシステムを作ってくれたのは大変有り難いし、相談できる人が身近にいるのは、何より心強い」。

 中小企業のITリテラシーは売り手が考えている以上に低いのが実状。だからこそ、岡田氏は、効果が見えやすく迅速に稼働させることができる最低限のITインフラの構築に主眼を置いている。中小企業が、受け入れやすい提案とは何かを示している事例といえるだろう。(木村剛士●取材/文)