経営分析システムをASP化

 千葉県を中心に店舗を展開する理美容業のオオクシは、昨年末から今年初めにかけてASP型の経営分析システム「サロン分析システム」の本格稼働にこぎ着けた。目標達成型モデルの同システムで、予想以上の収益力アップを実現。今年度(2008年6月期)業績は、これまでは前年度比10%増で推移していた売上高が20%増に、3-5%だった経常利益率が6-7%と膨らむ見通しだ。

 「サロン分析システム」は、POSデータから収集したデータをインターネット経由でリアルタイムに分析できる。過去のデータから売上目標の数値などを自動的に設定できる仕組みも取り入れた。なかでも、顧客の再来店率に関しては6か月単位で行っていた評価をリアルタイムに行えることがポイント。大串哲史・代表取締役は、「サービス業にとって最も重要なのが再来店率。即時化が図れたことでマネジメントの革新につながっている」と自信をみせる。同システムはハイパーソフトやテレウェイヴリンクスなど、サロン向け製品・サービスの提供に強いITベンダー複数社が開発。担当ベンダーのいずれも、以前のデータ分析システムでオオクシとつき合いがあったことから、「当社にとっては現段階で最適なシステムに仕上がった」と、大串代表取締役は満足そうに語る。

 同システムの稼働にあたって課題だったのが、オープン化に伴うセキュリティポリシー。そこで、ITコーディネータ(ITC)の有志が集まる千葉IT経営支援LLP(有限責任事業組合)理事長の野村真実氏が依頼を受けた。野村氏は「経営とITを組み合わせるという点で、このシステムにはブレがない。理想的な導入だと感じた」という。そのため、オオクシは経済産業省が主催する「中小企業IT経営力大賞」で、IT経営実践認定企業として表彰された。

 オオクシは、東京五輪が開催された1964年に千葉県稲毛市で創業。稲毛市の発展とともに成長してきた。大串代表取締役は父親から家業を継いだ2代目で、自らも美容師として店に立った経験を持つ。現場を把握し、経営者として業績を伸ばさなければならない立場として、大串代表取締役が感じているのは「中小企業が成長するにはIT化が必須」ということだ。というのも、理美容業界では黒字経営が全体の11%程度といわれており、赤字の店が圧倒的に多いからだ。「店を始めて10年もてばよいほうというのが業界の現状。そのなかで、長期にわたって安定経営を維持するためには、サービスをいかにシステム化できるかにかかってくる」。そのため、業界のなかでは率先してIT化を図っている。「サロン分析システム」を導入する前も、POSデータ活用のシステムで革新的なマネジメントを実施してきた。(佐相彰彦●取材/文)