IT Stock Frontline

1か月半ぶりのIPO

2008/06/02 16:04

週刊BCN 2008年06月02日vol.1237掲載

新興市場の回復の足取り重い

 5月のIPO(株式新規公開)は23日のプライムワークス(東証マザーズ)1社のみ。4月9日のアールテック・ウエノ(大証ヘラクレス)から44日ぶりのIPO案件となる。大型連休や決算発表シーズンとなる5月は例年IPO件数は少ないが、それでも1社だけというのは初めて。しかも、44日間というインターバルは過去最長となる。

 株式市場全体には明るさが出ているが、個人投資家の売買ウエートが高い新興市場は回復の足取りが重い。企業の不祥事や相次ぐ業績下方修正、ジャスダック証券取引所と大阪証券取引所の経営統合難航などマイナス要因が多い。

 6月以降もIPO件数が急増するとの見方は今のところ少ない。マーケット冷え込みから公募価格が低く決まらざるを得ず、企業側が当初想定していた資金を調達できないケースが出てきている。また、3月以降新規上場した13社を見ると、初値が公募価格を下回ったのは6社を数える。そして4月末の時点で13社のうち8社の株価が初値を下回っている。

 そうしたなかで、4月18日に上場したアクセルマークが大きく切り返してきたほか、4月19日に上場したビリングシステムが5月に入り高値を更新してきた。ともに人気の高いIT関連セクターの企業だが、この2社を突破口に直近IPO銘柄の株価がどこまで回復するかが注目される。そして23日に上場したプライムワークス。モバイル中心にコンテンツやサービスの開発を行うネットベンチャーだ。ソフトバンク向けに携帯コミック・小説を閲覧するためのアプリケーションを開発。一般利用者向けにコンテンツ制作・配信を行うなど「電子ブック」分野が主力で、成長力が投資家からどの程度評価されるか関心が集まった。結局、公募価格23万円に対して初値は60万円と人気を集めた。(有賀勝久)
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