情報活用のためのサービス

 リコー(近藤史朗社長)はオンラインストレージサービス「quanp(クオンプ)」で本格的にコンシューマ向けウェブサービスに進出する。他社の既存のオンラインストレージサービスは、バックアップの用途などでの使い道が多く、市場にこれといったデファクトの企業は存在しない。同社は情報の「保護」に加えて、情報を活用したいニーズも高まっていることから「情報活用」という視点でサービスを作り上げた。

 最初のうちは漠然とした仮説レベルで、仮想の顧客を設定しながらサービスを組み立てていったという。「とにかく誰も知らないので、自分たちで面白いと思うものを試行錯誤して、サービスを形にしていったようなものだが、やりがいがあった」と生方秀直・MFP事業本部CPS-PTリーダーは振り返る。

 サービスのプロトタイプを完成させたのち、消費者とコミュニケーションをとりながら、予備調査を行ったところ、反応が良好だった。今年1月から限定的にサイトを公開し、フィールドテストを行った。テストに参加したユーザーは3000人に及んだ。そして、今年5月12日、正式にサービスインした。

 オンラインストレージサービス「quanp」は専用クライアントソフト「quanp.on」をインストールすることで利用できる。専用クライアントソフトからドラッグ&ドロップでファイルのアップロードが可能だ。

 保管している画像をただ一覧表示するだけでなく、サムネイルを時系列順に立体的に並べた、「3Dビュー」により必要なファイルを探し出しやすくした。また、「パワーポイントなどのビジネス系文書の内容を展開して見ることができる便利な機能もある」(MFP事業本部CPS-PTスペシャリストの仲居達人氏)。検索では、キーワードに加え、タグに紐づいてファイルを探し出せるなど、多様な検索機能が用意されている。また、サイト上に「共有プレイス」を用意することで、互いの保管するファイルにコメントをつけたり、交換などもできる。

 今はまだクライアントソフトを導入しなくてはサービスを利用できないが、テストの段階でウェブブラウザからのアクセスへの要望も高かったことから、今後対応する。また、携帯電話からの利用や、写真プリントサービスの提供を計画している。コンシューマサービスは収益性で厳しい面もある。だが、「これはリコーにとってコンシューマで地位を確立する『チャレンジ』でもある」(生方リーダー)。2010年までに、国内外で700万ユーザーを目指す。(鍋島蓉子●取材/文)