EDIの付加価値化

流通BMSがチャンス!


 食品・酒類の卸売り国内最大手の国分は、取引先とのインタフェースをEDIに集約させることで、基幹業務システムの負荷を大幅に減らしてきた。同社のシステム構築上のポイントは、EDIにデータを集約させることだけでなく、EDIと基幹業務システムの間にデータの整合性を高める高機能なフィルタリングシステムを入れている点にある。流通BMSへの移行が期待されるなか、ISVやSIerはEDI部分のみならず、基幹業務システムを含めたシステム全体の最適化を視野に入れた付加価値の高い提案が求められている。

 EDIは取引先によってデータ形式に差異が出てくる。国分ではやりとりするデータに独自のフィルタリング処理を行うことで、自身の基幹業務システムに最も適したデータフォーマットに変換している。
 EDI部分は、NI+Cインフォトレードの「EDIPACK21」で一括して管理。フィルタリングや受発注管理システムについては、SIerの野村総合研究所(NRI)などと協力して、国分独自のシステムを開発してきた。今後、小売・流通業界で標準のEDI規格となるXMLベースの流通BMSが導入されれば、取り扱うデータ量はさらに増え、複雑化することが予想される。

 小売・流通業界全体でみれば、それだけ濃密な情報共有が可能になり、サプライチェーンマネージメント(SCM)の高度化の道筋が見える。必然的にEDIシステムへの負荷は高まり、基幹業務システムにスムーズにデータを受け渡すための「フィルタリング処理も改善しなければならない」(国分の阿部興人・情報システム部副部長)。国分のようにIT投資体力のあるユーザーなら独自に開発することも可能だが、多くの中堅・中小ユーザーはパッケージを利用したいところだ。

 こうした需要に応えるため、NI+Cインフォトレードでは、EDIと基幹業務システムの中間処理を担う「OMS(オーダーマネジメントシステム)」の機能強化を急ぐ。

 OMSは、EDI専業ベンダーであるNI+Cインフォトレードの豊富なノウハウをパッケージ化した製品で、個別に開発するのに比べて容易に導入できる。今年度(2009年3月期)中にはIBMのXMLに対応したデータベース「DB2 9」に対応する予定。IBMの主力サーバー「Power Systems」やアプリケーションサーバー「WebSphere」の販売パートナー網を活用して、「付加価値の高いビジネスを展開する」(NI+Cインフォトレードの土岐守・ビジネス推進本部長)と、鼻息が荒い。

 流通BMSへの移行によって生まれる“EDI特需”が、向こう1-2年で期待されるが、仕様が公開されたオープンな規格で、なおかつISVやSIer間の激しいシェア争いを考えると、価格は安く抑えざるを得ない。そこで付加価値を高める領域として注目を集めるのが、OMSのような受発注管理やフィルタリングシステムの領域だ。

 流通BMSが普及しても、既存のJCA手順もしばらくは残るとみられる。受発注のフロントエンド部分は、より複雑化するのは必至。ISVやSIerの差別化要素は、既存EDIや基幹業務システムとの整合性の確保、ならびに受発注やフィルタリング処理をいかに効率よく実現できるかにある。EDIは基幹業務システムと密接に連動する分野であるため、顧客企業の業務システム全体の最適化を視野に入れた付加価値の高い提案が求められる。(安藤章司●取材/文)