自社の強みをサービス化

 ウレタンやスポンジ、ゴムの加工業者である大番では、インターネット見積発注システムの「バンバンネット」での受注が好調だ。大崎常行社長は、「受注は毎月35件ずつ増えている状況」と胸を張る。

 「バンバンネット」は会員制のサービス。ユーザーは、IDとパスワードでログインし、見積もりから発注までを行える。希望納期を選択できるほか、午後3時までに発注すれば即日出荷で迅速に受け取ることが可能だ。1個から受け付けており、最大100個まで対応している。素材や寸法、加工形状、加工方法を入力すると、コンピュータが見積金額を自動計算してくれる。「このような加工品を、少量で、どうしてもこの日までに揃えなければならない」という特別注文に、大番はインターネットサービスで応えている。こうした付加価値でユーザーを獲得していった。

 インターネットでサービス化できたからといって、特別加工品を短納期で出荷できるわけではない。ではなぜ、特別注文が可能なのか。それは、大番が以前から「超特急品加工システム」と呼ばれるサービスを提供していたからだ。同サービスは、既存顧客の日常の声からアイデアが浮かんだという。「既存のお客さんから、『この日までに都合をつけてくれないか』などといった依頼をよく受けていた」。顧客から無理な注文が寄せれられるのは、大番に腕のいい技術者が揃っている証。難なく対応すれば、顧客は喜ぶ。「これをメニュー化すればビジネスとして成り立つのではないか」。こうした判断でサービス化したものだった。

 「顧客層を広げるためには、全国網で展開しなければならない」という大崎社長の考えからインターネットサービスとしても提供、「バンバンネット」が誕生した。優秀な技術者を生かすという自社の強みで、大番が高付加価値の特注品を提供できる所以だ。

 「バンバンネット」の提供開始は2006年10月。今では、「売り上げが1か月平均850万円前後で推移している。『超特急品加工システム』だけを提供していた時と比べて約10倍に膨れ上がっている」と自信をみせている。インターネットビジネスを成功させた立役者は、ITコーディネータの吉田東良氏。中小企業を対象に経営コンサルティングを手がけるアイビーの代表取締役である。

 2人は約10年前に知り合った。吉田氏が中小企業を対象としたセミナーを開催、大崎社長が参加したのが発端だ。その頃から「IT化を相談する人は吉田さんしかいない」と、大崎社長は心に決めていたそうだ。月日が経過し、インターネットサービス提供を決意した04年、大崎社長が吉田氏に本格的に依頼。壮大なプロジェクトが始まった。