久米設計がIBM製コミュニケーションソフト「Lotus Sametime」とヤマハ製スピーカー「PJP-25UR」を組み合わせた遠隔会議システムを本格稼働させたのは今年6月。建築設計の将来像を見据えたときに、最も重要なのがコミュニケーションの強化と判断したからだ。IBM主催のセミナー参加で導入に踏み切った。グループウェア「Lotus Notes」のユーザーだったことも導入を後押しした。(佐相彰彦●取材/文)

セミナー参加で6月に本格稼働

「Notes」導入も後押し


 「(日本IBMさんの)今年春に開催されたセミナーに参加し、ヤマハさんのデモンストレーションで導入を決断した」。久米設計の佐藤良志則・情報・研修センター主管は振り返る。社内では他のテレビ会議専用システムも検討していたが即座にテスト導入を上申し、6月から遠隔会議システムを本格稼働させた。

 ヤマハのデモで久米設計が注目したのは、マイクとスピーカーの音質にある。遠隔にもかかわらず、まるで近くにいるように自然な会話が可能だからだ。「Lotus Sametime」との組み合わせは、ウェブテレビ会議で一般的なヘッドセットを使わずに多人数での会議が実現できる。「日常的に頻繁に使えるような会議システムが欲しかった。そういった点で最適」と佐藤主管は実感する。

 「Lotus Sametime」とヤマハ会議用マイクスピーカーの組み合せは、米国とのワークスタイルの違いで普及が進んでいない「UC(ユニファイドコミュニケーション)」を日本市場で浸透させるためのキラーコンテンツとなる可能性を秘めている。ヤマハの馬場大介・サウンドネットワーク事業部営業部営業企画グループ主任は、「『Lotus Sametime』と当社のマイクスピーカーの組み合わせは音質・操作性ともにUCを展開するための最適なソリューションと考えている」と強調する。

 そもそも久米設計が日本IBM開催のセミナーに参加したのは、「Lotus Notes」のユーザーだったことがきっかけ。「Notes R5」の導入が2002年で同時に「Sametime3.0」も採用した。07年には「Notes」と「Sametime」を、それぞれ「7.0」と「7.5」にバージョンアップ。社員用の在席表示機能を統合することで、「Lotus」がグループウェア活用の枠を超えた全社の情報コミュニケーション基盤としての役割を果たすようになった。こうした流れを経て、次のステップとして音声を活用した会議に着目、遠隔会議システムを導入するに至ったわけだ。

 今年6月に本格稼働のため、現時点ではわずか3か月程度しか経過していない。しかし、短期間で導入効果が出ているというのは、久米設計が「コミュニケーション」という社内リソースを最大限に生かすことがビジネスを活性化させると確信していたからだ。

 「まだまだ日常的に使っているとはいえない。しかし、確実にコミュニケーション力はアップしている。半年後(今年12月頃)には、また新しい効果が生まれるのではないか」(久米設計の佐藤主管)とみている。

 また、将来的には「席にいながらも会議が行えるようなシステムの導入も検討したい」(同)というのが久米設計の要望だ。アイデアや独創性が勝負の設計業界で、総合的なビジネスが行える会社として名を轟かせる久米設計によるコミュニケーション強化への限りない革新は今後も続く。