IT企業のパラダイムシフト加速

 2009年は株式市場でもSaaSが注目されることになりそうだ。ソフトウェア機能をインターネット経由で提供するこのSaaS(Software as a Service)。初期コストを最小限に抑えつつ開発期間ゼロ。導入後もさまざまな環境変化には自動バージョンアップで迅速に対応するうえ、管理や保守にも手間がかからないというのがメリットだ。

 先行している米国で2010年に1兆円市場に成長するとの予測もあるなか、BtoB分野でトップのSaaS専業のセールスフォース・ドットコムの業績が急成長しているほか、SAPやオラクルなどのガリバー企業もこの分野の育成に傾注している。一説にはマイクロソフトによるヤフー買収劇もSaaS普及への危機感が背景にあるという。

 国内では日本郵政がセールスフォース・ドットコムのSaaSサービス導入を2007年に明らかにして以来、注目度がアップ。経済産業省による利用ガイドラインが定まったうえ、セキュリティ環境がより強固なNGN(次世代通信網)の商用化をNTTが開始するなど普及本格化のレールは敷かれている。何よりも、景気後退に直面する企業は、IT投資の費用対効果の審査を厳格化するとの見方が増えている。

 業界内には、まだまだ“手組み”といわれる手作りシステムに固執する企業も多いが、従来の労働集約型で利益率の低いビジネスから、知識集約的なビジネスモデルへのパラダイムシフトを志向する企業は着実に増えている。

 SaaSの拡大により株式市場で注目されそうな主な企業は次の通り。東証1部で、CTC、ネットワン、日本ユニシス、日立ソフト、富士ソフト、ジャスダック市場でソリトンシステムズ、ワークスアプリ、東証マザーズでGMOホスティング&セキュリティ、ドリコム、リアルコムなど。(有賀勝久)