解剖!メーカー流通網

<解剖!メーカー流通網>27.日本エイサー 開発・製造・販売を水平分業

2009/08/03 20:45

週刊BCN 2009年08月03日vol.1295掲載

ディストリとの関係強化でPC販売を拡大

 日本エイサーが、日本で展開するPCは3種類。「Aspire Timeline」などのノート、ネットブック「Aspire One」と「AspireRevo」をはじめとするデスクトップだ。

 同社の特徴は、専門会社を活用した効率的な経営にある。販売では「インダイレクト」と呼ぶユーザーと直接接点をもたない形態を導入。ウェブ直販などは一切行っていない。


 具体的には、製品の研究開発やマーケティングと一部設計だけをエイサーが担当。部品調達や製造は台湾などのODM(相手先ブランドによる設計・製造)会社、販売はディストリビュータを活用している。「多芸は無芸。開発・マーケティングという自分たちの強みが発揮できる分野だけに絞った」(瀬戸和信・事業支援本部マーケティング部マネージャー)のが理由だ。


 ディストリビュータは、ダイワボウ情報システムと丸紅インフォテックのみ。この2社に法人向けとコンシューマ向けの販売を任せている。一般的には幅広くディストリビュータとつき合うほうがビジネス拡大につながるが、「ボリュームメリットと効率的な流通という点では、現状で十分」と瀬戸マネージャーは言い切る。


 一方、携帯電話会社の店舗でのネットブック販売も開拓する。NTTドコモのショップではすでに販売しているが、本格的な販売網構築に向けた検討に入った。


 同社は、ディストリビュータに対するブランド力の向上が日本でのビジネス拡大の課題と考えている。瀬戸マネージャーは「製品を多く扱ってもらうには認知度(知ってもらう)よりブランド(理解してもらう)が重要。その点はまだまだ」と強調する。


 そのため、製品の情報開示や説明を積極的に行っていくほか、ローコスト経営で可能になった高性能のPCを他社よりも安く提供する施策も実施。ディストリビュータとの密な関係構築に注力している。法人・個人のエンドユーザーへのPRも、ディストリビュータと二人三脚で行っていく考えだ。(米山淳)


 

  • 1