解剖!メーカー流通網

<解剖!メーカー流通網>35.エプソン販売 ソリューション販売に傾注 低価格キャンペーンで攻勢

2009/10/13 20:45

週刊BCN 2009年10月12日vol.1304掲載

 エプソン販売のビジネス向けページプリンタは、中小企業を中心に販売展開している。2年ほど前、新規製品のリリースを減らして「仕込みの年」(平野精一社長)とし、次の成長に備えた。同社のプリンタは、ほぼ100%を事務機ディーラーなどパートナーの販売に頼っている。ただ、この流通網であるがゆえに「顧客の利用環境が分からなかった」(同)。そのため、1年以上をかけて同社の社員が徹底して既存顧客を巡回してきた。

 プリンタを右から左へ流すのではなく、顧客に「アダプテーション(適合)」した展開を模索し、そこで不足する製品やソリューションを整備してきたのだ。このため、これまで中核パートナーだった“箱売り”主体の事務機ディーラーだけでなく、ソリューション販売を得意とするSIerなどのベンダーと組むケースが増えている。

 一般オフィス向けプリンタの販売が低迷するなか、医療、流通、小売業を対象とするソリューション展開と自治体・官庁のロット案件が戻り、復調しつつある。

 今年に入ってからは、主力機種を期間限定で低価格販売する「お得キャンペーン」を開始。直接、エンドユーザーに価格優位性を訴求し、「指名買い」が来た段階で、直接契約する事務機ディーラーや大手ディストリビュータの2次店が刈り取る戦略を相次ぎ実施。宮西徳郎・マーケティング部長は「ダイレクト販売と思われるキャンペーンだが、これは販社モデル。販社に特典を与えることができた」と認識しており、再度、事務機ディーラーの活性化に力を入れたことで、前年度比を上回る販売台数を確保したという。

 同社ページプリンタのもう一つの流通チャネルが家電量販店だ。こちらでは、これまでトップシェアを握っていたキヤノンに加え、ブラザー販売やOKIデータなど、店頭市場で新興勢力の攻勢を受け、苦戦を強いられつつある。(谷畑良胤)

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