IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>29. ユニオン精密 工場の業務フローを“見える化”

2011/05/26 16:04

週刊BCN 2011年05月23日vol.1383掲載

 神奈川県の愛川町に本社工場を構えるユニオン精密は、電子機器用ネジをはじめ、あらゆる種類の精密ネジを生産している。主な取引先は、ハードディスクや携帯電話、ゲーム機、カメラなど、微細なネジを必要とする電子機器の大手メーカーなどである。神奈川県の工場のほかに、鹿児島県の薩摩川内市と、中国・広東省に2か所工場を保有している。同社の雨森和彦社長は、「精密ネジの業界ではトップのシェアを誇っている」と自信をみせる。

 ユニオン精密は、2006年の春、生産管理システムのリプレース時期を迎え、工場内の業務フローを全社員が簡単に把握できるよう、各工程の見える化を実現するシステムの導入を検討。新しいシステムの導入にあたって、雨森社長は、経営者向け研修会で知り合ったITコーディネータ(ITC)の河出孝司氏(=SIコンサルティング代表)の力を借りることにした。

 河出ITCは、もう一人のITCと一緒に、まず、工場で働く社員がどのようなことに困っているか、システムの課題は何かを徹底的に把握するために、およそ1年をかけて、月2回のペースで部門ごとにヒアリングを行った。社員に話を聞く過程で、「100項目くらいの課題がみえてきた」(河出ITC)という。雨森社長は、「古いシステムでは、例えば、当社営業にお客様から『注文した製品はいつごろできるか』との連絡が入ったときに、営業担当が製造工程の担当に聞きに行き、また、製造担当は現場に行って調べなければならかった」と当時の課題を語る。

 河出ITCは、ユニオン精密の工場内の業務フローと課題を細かく理解したうえでシステムの構成を決め、2008年、雨森社長とともに、システムを設計するベンダーの選定に取りかかった。08年3月に、ネジ業界向けのシステム設計に実績をもつベンダーのアイルを選び、設計からスタートし、古いシステムとの並行稼働を経て、09年8月にシステムの本格稼働を開始した。

 新システムは、Windowsベースのユーザーインターフェース(UI)を使い、高いITスキルがなくても、簡単に利用できる。本社工場への導入と同時に、鹿児島県工場にも導入した。(つづく)(ゼンフ ミシャ)

電子機器用の精密ネジが同社の主力製品
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