作業工程を“見える化”したい

 栃木県の宇都宮駅から車で約30分。のどかな田園風景が広がる一角に、板金加工業を展開するツカサ精密の本社・工場がある。従業員約30人、売上高は5億6000万円と規模は決して大きくないが、1984年設立の老舗に対する地元顧客の信頼は厚い。その同社が07年5月、新たな生産管理システムを稼働させた。サポートしたのは栃木県内で活動するITコーディネータ(ITC)福沢繁氏と、個人事業主としてSEビジネスを手がける南木正和氏。ツカサ精密の渡邊清司社長が要望していた“作業工程の見える化”を、バーコードリーダーと独自開発Webアプリケーションの組み合わせというユニークな設計で実現させた。

 ツカサ精密が持つ約450坪の工場では、毎月約150社から依頼された2500-3000種類の板金部品を加工する。(1)板金からの型抜き(2)曲げ加工(3)溶接(4)組み立て(5)検査、の5段階でさまざまな部品が目まぐるしく工場内を動く。大量の商品を管理するために01年、渡邊社長は知り合いのITコンサルタントに頼み、生産管理システムを初めて稼働させる。ところが、運用段階に入ると致命的な問題に気づいた。「作業工程を把握できない」。部品がどの作業段階にあるのかが、すぐに分からないのだ。

 このシステムの生産管理現場はこうだ。まず発注があった際に、製品ごとに作業指示書をシステムで作成、出力する。その指示書には、各作業工程ごとで終了したサインを記すための枠を設けている。加工業務がスタートすると、指示書も第一工程から動き始める。第一工程担当者に手渡され、終了したら捺印。第二工程担当者にまた手渡しで回る。この繰り返しで部品の作業進捗を管理していた。これでは作業の進捗を知りたい場合、その指示書を工場内で探さなければならない。「顧客から作業進捗の確認電話があっても即答できない場合があった」(渡邊社長)のも無理はない。

 「多品種少量生産は当たり前。最近はかなり短い期間で納品を求められる」(渡邊社長)板金加工業界では、このシステムでは通用しないことを渡邊社長は実感。作業指示書にサインする習慣は根づいたものの、システムの再構築を決意する。ちょうどその頃、地元の会合で福沢氏と偶然知り合い意気投合。システム再構築支援を依頼することになった。05年5月のことだ。