IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>43.スーパーやまだ(下) ウェブで注文、受け取りは実店舗で

2011/09/08 16:04

週刊BCN 2011年09月05日vol.1397掲載

 電話などをシステム上に統合するCTIシステムを活用して、ユニークな宅配サービス「もしもしサービス」を展開している個人経営のスーパーやまだ(神奈川県川崎市)。サービスを開始してから、およそ10年が経過した。ITコーディネータ(ITC)としてスーパーやまだを支援している小林勇治氏(=イー・マネージ・コンサルティング協同組合理事長)は、顧客の拡大を目指して、山田卓社長に新たなIT活用法を提案している。

 小林ITCの提案は、顧客がウェブで注文し、店舗に製品を受け取りに来るという仕組みのネットショップを開設するというものである。ウェブと実店舗を融合させるこの仕組みは、ウォルマートなど米国の大型スーパーではすでに主流のモデルになりつつあるという。小林ITCは、「注文した品を店に受け取りに来たお客様は、店員やほかのお客様と会話ができるし、スーパーやまだは、商品を配達せずに済む」と、買う側と売る側にとっての“ウィンウィン効果”を語る。

 競合スーパーとの差異化戦略を考えている山田社長は、小林ITCのアドバイスを受けて、「非常にいいアイデアだと思っている。お客様が減る傾向に歯止めをかけることができる手段がみえてきて、気分が明るくなった」と笑顔をみせる。「ただし、当社は社員の数が限られているので、『もしもしサービス』の電話注文を受ける業務だけで手いっぱいの状況だ。これ以上のウェブ注文には対応できない」(山田社長)と、現状体制での問題点を挙げる。

 そこで、小林ITCは、次のように提案する。「スーパーやまだが店舗を構えている近辺は、60歳以上の高齢者が多く住んでいる。この方々を対象に、ボランティアとしてウェブ注文に対応する制度を導入すれば、人員リソースの問題を解決することができる。さらに、スーパーやまだの近辺は働きたいと希望するお年寄りが多いので、地域社会の活性化にも貢献する」と、ボランティア制度の利点をアピールする。

 山田社長は、近隣の大手スーパーに引きずられて価格競争が激しくなっているなかで、個人経営でも実現できる顧客拡大のアイデアを求めている。だからこそ、「小林先生のネットショップ開設の提案を前向きに検討していきたい」と、真剣な表情で語っている。(ゼンフ ミシャ)

酒類売り場を紹介する山田直樹取締役専務
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外部リンク

スーパーやまだ=http://super-yamada.com/