米IBM(ジニー・ロメッティCEO)は4月11日(日本時間12日)、米ニューオーリンズで2月下旬に開催した「PartnerWorld Leadership Conference 2012(PWLC)」の際に予告した業界初で新分野のコンピューティング・システム「エキスパート・インテグレーテッド・システム」であるPureSystemsを世界6か国で同時発表した。PureSystems関連の2製品を5月から順次発売する。
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| 4月12日に都内ホテルで開催した「PureSystems」の発表会に登壇した日本IBMの橋本孝之社長 |
PWLCで登壇したシステム&テクノロジーグループのロッド・アトキンス上級副社長は、第三世代のコンピューティングとなる新製品について、ビジネス・パートナー(BP)の前でこう説明した。「ハードウェアの成長は横ばいで推移。当社はクラウドを指向しているが、ハードを除外するわけではない。『Smarter Computing(スマーターコンピューティング)』(IBMが提唱する新しいITのかたち)という、さらにリッチなITを提供できる統合的なポートフォリオをつくり、新しい機会を創出する」。今回のエキスパート・インテグレーテッド・システムは、それをかたちにし、新たなカテゴリとして投入した。
世界同時発表の記者会見では、日本IBMの橋本孝之社長が冒頭、こう述べた。「ITの歴史の転換点となる日が今日だ。ITのカテゴリを根底から変える」。エキスパート・インテグレーテッド・システム初の製品は、他の同社製品とは別の新製品(もしくは新ブランド)となる「IBM PureSystems」のうち、サーバー、ストレージ、ネットワーク資源、仮想化、管理機能を最適統合したインフラ・システム「IBM PureFlex System」と、ミドルウェアを統合したプラットフォーム・システム「IBM PureApplication System」の2製品だ。
IBMが蓄積した専門家の知見を実装し、処理業務の内容や量に応じて最適なハードウェアとソフトウェアの構成を「パターン」として定義し、自動的にIT資源を構成。例えば、通常1か月以上かかる、仮想化環境を使えるようにするまでの要件定義や構成検討、調達、据付設置、仮想化環境の構成までをわずか4時間で終えることができるという。
「IBM PureSystems」の価格は2350万円(税別)からで、従来の基幹システムと比べると割高だが、ランニングコストを考慮すれば、運用管理コストを含めて安価で柔軟性の高いシステムを手に入れられる。PWLCの際、エキスパート・インテグレーテッド・システムについて記者の質問に中堅市場担当のエドワード・アブラムス上席副社長は「中堅・中小企業の成功を促すキーソリューションだ」と、中堅企業にも適したソリューションであることを強調した。(谷畑良胤)