ITベンチャー新時代の鼓動

<ITベンチャー新時代の鼓動>第4回 「Azure」ベースのサービス続々 充実した環境で迅速に開発

2012/06/14 20:29

週刊BCN 2012年06月11日vol.1435掲載

 日本マイクロソフトが展開するクラウド基盤「Windows Azure Platform」を活用しているITベンチャー企業の1社に、マーベリック・ウェブ・ワークス(阿部和生代表取締役)がある。日程マネジメントサービスである「WORK JOURNAL(ワークジャーナル)」を開発・販売している。

 ITベンダーで3DCADシステムや在庫管理システムを販売していた阿部代表取締役は、退職前に温めていたアイデアをもとに、3か月間の開発でサービスの提供にこぎ着けた。「さまざまな管理ツールが存在するが、従業員が結果を出すまでの“経過”に着目したツールは少ない。Microsoft Excelなどは使われているものの、もっと効率的に、しかも容易にプロジェクト管理できるように新しい製品を考えた」と、阿部代表取締役は話す。

 2010年当時は、毎月750時間まで無償で「Azure」を利用することができた。パッケージと違い、設備投資や運用の手間がかからないので、阿部代表取締役や実際に開発を担ったブミックデータ(石黒義文代表取締役)にとっては非常に魅力的に映った。Microsoft SilverlightやMicrosoft Visual Studio 2010など、開発ツールが充実しているので、.NET環境での開発経験を生かすことができた。

 2012年3月時点で、製造業やソフトウェア開発企業、IT専門学校など、25社のユーザー企業を抱える。「売り上げの向上やムダの排除を目的に、営業担当者の“見える化”ツールとして利用される事例が増えている」(阿部代表取締役)。海外販売を視野に入れて、英語版も提供している。

 セカンドガレージ(阿部孝志社長)も「Azure」に魅力を感じて、クラウドサービスを開発したITベンチャーだ。Eコマースショップ向けのビジネスインテリジェンス(BI)ツールである「Fast for EC」を取り扱っている。受注メールやCSVファイルからデータを抽出し、売り上げや顧客の情報を分析できる。

 2009年当時、阿部社長は、独立系SIerでエンジニアに従事するかたわら、楽天の仮想商店街でワインショップを運営していた。しかし、標準で提供されている管理画面では、満足のいく売り上げの分析ができなかった。

 そこで、独自開発しようと思い立った。経営コンサルタントの藤原寛氏(現・取締役)に相談を持ちかけて起業。本業の時間以外にプロジェクトに参加できるエンジニアを集った。顔を合わせずネットワーク越しに開発できる環境を構築し、「Fast for EC」のリリースに成功した。(信澤健太)
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外部リンク

マーベリック・ウェブ・ワークス=http://maverickwebworks.co.jp/

セカンドガレージ=http://2ndgarage.co.jp/