北海道出身で、馬が大好き。日興通信で文教・公共向け営業の部隊を率いる水戸大章さんは午(馬)年の2014年に、クラウドなどを活用したソリューション提案の活動に拍車をかける。日興通信は、1947年創業の老舗の独立系システムインテグレータ(SIer)だ。水戸さんは、「100年続く会社を目指す」という社長の方針を受けて、新しいかたちの提案に挑むことで顧客を増やし、事業成長の基盤づくりに貢献することを目標に掲げている。「まじめに働くけれども大ざっぱな一面がある」という4人の部下をしっかり管理し、案件の獲得につなげる。(構成/ゼンフ ミシャ 写真/横関一浩)
[語る人]
日興通信 水戸大章さん
●profile..........水戸 大章(みと ひろあき)
1984年、日興通信に入社。パーソナルコンピュータ事業部に配属され、企業向け営業に従事。86年、東京都立職業高校向けCAI(コンピュータを活用した教育)教室の営業に携わり、教育市場を担当する。2013年に東京支社長代理に就任した。教育機関・官庁自治体に加え、民間企業や通信系ユーザーを担当する。
●所属..........東京支社長代理
第二営業部長
●担当する商材.......... 文教・公共向けのシステム
●訪問するお客様.......... 首都圏の教育機関や官庁自治体
●掲げるミッション.......... クラウドなどを活用する新型提案の強化
●やり甲斐.......... 会社の継続的な成長を支える
●部下を率いるコツ.......... 情報を共有しやすい雰囲気をつくること
●リードする部下.......... 4人
“黒子”に徹し、部下の「大ざっぱさ」を補う
学校や自治体にシステムを提案する東京支社・第二営業部の部長として、4人の部下を統括している。当社は歴史のあるSIerということもあって、部下は全員まじめに働くが、個性が強いというか、商談の進捗に関して大ざっぱな部分があるので、徹底的な管理が欠かせないと考えている。
朝出社すると、私はまず、部下たちから届いた日報を念入りに読む。どこのお客様を訪問してどんな提案を行い、先方からどのような声を聞いたか──。当社では、項目を簡潔にまとめる報告書のフォーマットを決めていて、上司がコメントを記入する欄も設けている。
部下の日報を読んだら、「ここは○○を強調する再提案が必要になる」とか、「このお客様には私も同行する」というようなコメントを記入して返信し、後方から部下たちの活動を支援する。地味かもしれないけれども、こうして情報をやり取りする形式をきちんと定めて、報告・コメントの送信を義務づけることは、部長の私からみれば、営業活動を管理するうえでとても効率のよいやり方だと思っている。
その裏づけとして、およそ1年をかけて受注にこぎ着けた案件のエピソードを紹介したい。部下の一人が、ある自治体に対して、学校内や学校と教育委員会の間でクラウドを使って安全に文書をやり取りできるソリューションを提案した。学校の先生は、USBメモリに文書を保存して自宅に持ち帰ることが多いこともあって、その紛失や盗難によって、情報漏えいを起こす事故が多発している。
その部下が提案したのは、文書をクラウドに保存して、記録媒体を一切使用することなく、どこからでもデータにアクセスできる仕組みだった。文書には「校長先生のみ閲覧可能」などの権限づけもでき、広い範囲でセキュリティの向上につながる。しかし、自治体向けの案件は入札が必要となるなど、すぐに注文していただけるものではない。
今回の案件も、かなり込み入っていた。現場の先生や学校の管理部門、さらに教育委員会のメンバー。部下は、それぞれ立場が微妙に異なる方々を訪問して、それぞれの要求を整理しつつ、社内の技術部隊とうまく調整する必要があったからだ。このなかで、私は黒子として動いた。「情報漏えい事故の多発を強調して、クラウドの安全性を訴えることで、教育委員会を説得しなさい」などのアドバイスを行い、部下の営業活動を陰で支えた。
部下の少し大ざっぱな部分を私が補って、受注に結びつけたのだ。
[紙面のつづき]「東京プロジェクト」で新規顧客の開拓に挑戦、東京支社を一番の拠点に
私は、文教・自治体を担当する第二営業部の部長として4人の部下を率い、さらに東京支社の支社長代理として、全18人のスタッフをみている。東京支社は、首都圏という日本で最も大きな市場に向けてシステム提案を行う部隊で、当社の成長基盤を担う位置づけにある。私は今後、新しいお客様を増やし、ビジネスの規模で東京支社を「一番の拠点」にしたいと考えている。
昨年、5~10年後のビジネスづくりを目指して立ち上げたのが、「東京プロジェクト」だ。これは、営業スタッフが一人一つのテーマをもち、事業計画にある売上目標とは別に、新しい商材を開発・提案していくプロジェクト。すぐに売上げにつながらなくてもいい。時間をかけて、今まで開拓できなかったお客様をじっくり攻めていく環境をつくり、比較的年齢が高い部下たちのチャレンジ精神を高めている。
「東京プロジェクト」の大枠のテーマは、「大学の経営課題を解決する」こと。少子化で学生が減り、経営が厳しくなっている大学を、ITを活用してどのように支援できるかを考えているところだ。いま情報収集を進めているのは、「もたない経営」、つまりオンプレミスの情報システムをクラウドに移行してコスト削減を図るとともに、経営リソースを効率化するという提案だ。さらに、クラウドというインフラ部分にとどまらず、例えばICカードを活用して学生や教職員のIDを統合管理するツールを組み合わせて、セキュリティや利便性の向上を取り入れた提案を実現したいと考え、部下の営業活動を促している。
IT業界の進化によって、自分を含む一人ひとりの営業スタッフも変わっていかねばならない。常に最新の情報を吸収し、業界の進化とともに、リーダーとして当部署の進化に挑んでいきたい。

営業マネージャーの多忙な毎日に欠かせないのが手帳だ。水戸さんが使っているのは、日興通信が販社になっているNECからノベルティとしてもらったもの。時間管理だけでなく、倹約もこれでバッチリだ。