日立ソリューションズは、2010年、日立システムアンドサービスと日立ソフトウェアエンジニアリングが合併して生まれた大手SIerだ。現在、事業のさらなる拡大に向けて、経営トップ層は約50人の部長クラスに高い売上目標を課している。流通業向け業務パッケージの営業部隊を率いる野村文雄さんは、「流通業の特定領域でNo.1を取れ」と命じられた。そんな野村さんだが、20人の部下のスキルを徹底的に分析し、研修を受けさせて弱点を克服し、営業スキルを磨くことによって、トップシェアの獲得に動いている。(構成/ゼンフ ミシャ 写真/横関一浩)
[語る人]
日立ソリューションズ 野村文雄さん
●profile..........野村 文雄(のむら ふみお)
1992年4月、大学を卒業後、システムインテグレータ(SIer)の日立ソフトウェアエンジニアリング(現日立ソリューションズ)に入社。営業本部市場開拓部に配属され、流通業を中心として、顧客の新規開拓に携わる。2010年に現職に就任した。
●所属..........流通営業本部
ソリューションビジネス部(兼)グローバル営業本部
部長
●担当する商材.......... 産業・流通業向けの業務系パッケージ
●訪問するお客様.......... まだ取引していない流通業のお客様
●掲げるミッション.......... 流通業の特定領域で「No.1」になること
●やり甲斐.......... チームの一体感と部下の成長を感じるとき
●部下を率いるコツ.......... 表舞台に立たせ、自信をもたせること
●リードする部下.......... 20人
研修で弱点を補って営業活動を万全に
上司に「首位を目指せ」と言われて、現在、食品関係など、流通業のなかで特定の領域を定め、市場調査を行っている段階にある。2014年は、マーケティング施策を講じて営業活動に注力することにより、「○○領域では日立ソリューションズがシェアNo.1」の実績を上げることにつなげたいと考えている。そのために、20人の部下(私は彼らを「仲間」と呼ぶ)を効率よく動かして、時間を無駄にすることなく、お客様を攻めるアクションプランを打ち出した。
一日の営業日を、午前中2コマと午後3コマと合計5コマに区切って、この時間をフルにアクションプランの実行に活用するよう、部下を指導している。私と課長3人が集まって進捗状況を確認するなどの会議は朝の早い時間帯に入れて、会議のために営業活動に使う時間が削られないようにしている。そして、必ず一日一度は、在席するメンバーとマン・ツー・マンで話して調子を見ることを意識している。
部下の席に近づいて話しかけると、彼らの動きを把握することができるし、各自が抱える弱点に気づくことも多い。彼はアカウント戦略の知識に弱いとか、彼はもっとマーケティングについて勉強しないといけないとか……。私は、それぞれのメンバーのスキルのどの部分を補う必要があるかを分析し、外部の研修を受けさせる。それによって、営業パーソンとしての腕を磨くための環境をつくっている。
上司の私が、「ここがキミの弱点だ」と指摘するよりも、本人が研修で自分の弱みに気づき、改善を図ったほうが、プライドも傷つかないし、成長につながると考えている。実際、研修を受けた部下がそこで学んだことを現場で生かし、案件の受注につなげた事例がいくつかあるので、研修は有効だと実感している。
私は、3年半ほど前に部長に就任してから、毎期、売上目標を達成している。しかし、この下期(2014年3月期)は、No.1を目指して数字を高く設定していることもあって、達成できるかどうかが少し心配だ。そこで、「もうひと踏ん張りを」という意味も込めて、チームスピリットを高めるために、先日、メンバー全員で、日立製作所の創業の地である茨城県日立市を訪れた。現地で日立の昔の事業精神や長い歴史を感じたことで、一体感が強くなったと思う。これを生かして、皆で力を合わせてラストスパートで下期の売上目標を達成したい。
[紙面のつづき]全員が納得するまで対面で議論、ビジョンの策定につなげる
ここでは、営業リーダーとしての自覚が芽生え、今の自分のベースができたエピソードを語りたい。2005年、私が部長代理だった当時のことだ。
その年は中期経営計画を策定する年で、私も、私の部下である三人の主任も、部門方針の策定に大わらわだった。三人は私より早く当社に入社し、年齢も上。全員が私の先輩だ。三人と密にコミュニケーションを取り、それぞれの意見を取り入れながら方針をまとめ上げるのは、まだ管理職の経験が浅い私にとって、大きな挑戦だった。
まず、三人との接し方に迷った。職位をかざして上から目線で話したらだめ。もちろん、命令口調で指示しても反発を買うだけだ。一方で、ご機嫌取りやお願いモードになっても、立場上おかしなことになる。迷った末に選択したのは、徹底して話し合い、係単位のミッションを明確に決めていく手法だった。
私を含めて、それぞれがビジョンと進むべき方向や自分の果たす役割を宣言するための場をつくり、熱い議論を繰り広げながら合意するまで話し合った。その場では、私のチームを率いる強い思いが周囲にも伝わるようにリーダーシップを発揮し、情熱的なコミュニケーションを心がけた。こうして、全員が納得する方針を策定することができた。
この経験から、話し合う基盤がしっかりしていて、真剣な自分の姿勢が伝わればビジョンは共有できる、仲間は必ずついてくると実感した。
いまも、ビジョンの策定やアクションプランを作成するときは、時間をかけて部下たちと対面で議論している。最近は、部下を集めたディスカッションで、流通業の特定領域でシェアNo.1を獲るための戦略を話し合っている。
家に帰れば、女の子二人と男の子一人のパパだ。会社と同じように家庭でもリーダーシップを発揮したいのだが、正直なところどうもうまくいかない。2014年はもうひと工夫して、家庭でもリーダーとして認められ、パパとしての目標を達成するよう頑張りたい。

モンブランの長財布。「妻の勧めで、8年ほど前に購入した」という。カードがたくさん収納できるだけでなく、長年使っても革にほとんど傷がつかない高い品質がお気に入りだそうだ。