遠藤・政府CIOが統廃合の議論を主導
政府自身の情報システム改革も、ITの利活用推進のための重要施策だ。濱谷健太・内閣官房IT総合戦略室参事官補佐は、「従来、府省庁がバラバラにシステムを調達してきたこともあって、システムの数も多いし、運用コストも割高になっている」と、実状を述べる。こうした課題を踏まえ、「世界最先端IT国家創造宣言」では、2013年中に政府情報システム改革のロードマップを策定し、13年3月に運用を開始した基盤システムである「政府共通プラットフォーム(PF)」を統合基盤として、重複する情報システムやネットワークの統廃合を進める方針を示していた。まずはこれを実行すべく、遠藤紘一・政府CIOが自ら160回以上のヒアリング・レビューを行ったうえで、13年12月26日に「政府情報システム改革ロードマップ」を策定。宣言の改定版にもこの内容を盛り込んだ。
2012年度末で、政府の情報システム数は1450。ロードマップでは、18年度までにこれを871まで削減し、そのうち252システムを政府共通PFに移行するという計画を明らかにしている。独立したシステム数だけでみれば619となり、12年度末比で42.7%まで削減することになる。
運用コストは21年度までに3割削減
さらに、プライベートクラウド上で運用する政府共通PFへのシステム集約効果などにより、運用コストは現行の約4000億円を、21年度までに3割削減する。また、政府共通PF上の開発環境やリモート・デスクトップ機能などの整備も急ぎ、クラウド化のメリットを最大化するための取り組みも並行して進める意向だ。なお、21年度時点でのシステム数は849、うち300が政府共通PF移行済みになると想定している。これらを実現するための全府省庁を合わせた中期的な投資額は8000億円を超える見通しで、政府共通PF関連投資に限ると、基盤整備、各府省庁のシステム移行を含め、300億円程度を見込んでいる。
また、こうした情報システム改革のプロセスでは、行政手続きのオンライン利用促進や、行政側内部の事務処理の電子化も当然ながら進めることになる。政府のIT総合戦略本部は、「利用者視点や業務改革を踏まえた、より付加価値の高いシステムにするための戦略的な取り組みを推進したい」と意気込んでいる。(本多和幸)