ゲームソフト向けミドルウェア開発のCRI・ミドルウェアは、ウェアラブル市場を中期的な有望分野と位置づけている。着目点はウェアラブル端末に必須の加速度やジャイロ、気圧、温度、照度などのセンサ類だ。CRI・ミドルウェアはゲームで使う映像や音声を独自のアルゴリズムで制御するミドルウェアを開発しており、こうしたミドルウェアとセンサとの相性がいいと考えている。
とりわけ音声は、音波の波形情報をデジタル化して圧縮し、音質を極力劣化させず、しかも小さな容量で保存できるのが強みだ。振り返ってウェアラブル端末の加速度やジャイロといったセンサは、それで感じ取ったデータを出力しており、これを音波のような“波形情報”として記録し、活用できるのではないかと同社ではみている。
現状のウェアラブル端末の多くは、センサから出力された情報から、必要な部分だけを切り出してスマートフォンなどに無線のBluetoothなどで転送している。ウェアラブル機器のストレージ容量が小さいことに加え、電力消費が大きいBluetoothで転送するデータ容量を極力小さくすることで省電力化を図るためだ。だが、もし生データがそのままスマートフォンやクラウドに転送できるとすれば、「もっといろいろな分析が可能になる」(CRI・ミドルウェアの幅朝徳・CRIWAREエヴァンジェリスト)と予測する。

幅朝徳
CRIWARE
エヴァンジェリスト 腕時計型や眼鏡型などディスプレイが装着されているウェアラブル端末向けの映像や音声処理には、既存のミドルウェアがほぼそのまま使えるため、「大上段に構えなくても、恐らくすんなり入っていける」(幅氏)。だが、センサから出力される波形を処理するとなると、既存の映像や音声とはまたひと味違ったアルゴリズムを開発する必要があり、「うまくいけば従来の延長線上ではない、新機軸の商品を打ち出せるはず」(同)と、ウェアラブル端末向けのビジネス開発に強い意欲を示す。(安藤章司)