
角一幸 社長 クラウドビジネスの伸びがかなり大きくなっていて、手応えを感じている。2014年9月期の決算は、売上高こそ前期比でほぼ横這いだったが、その中身をみると、構造が大きく変わっている。粗利の低いハードウェア販売のウエイトが下がり、反対にクラウド商材の売り上げが20%増えたことで、粗利幅が大きくなった。ストックビジネスを着実に積み重ねたことで、安定した財務基盤を構築できていて、非常にいい傾向だと捉えている。
会計事務所経由で提供する企業向け会計システム、自治体向け基幹系システムのいずれも、クラウドが成長を牽引しているが、社会保障・税番号(マイナンバー)制度が2016年1月にスタートすることもあり、2015年はとくに自治体向けシステムに期待できる。現在提供している自治体向け基幹業務パッケージクラウドの次世代の製品も、約3500人月の工数をかけて開発してきた。業務プロセスに即してUI(ユーザーインターフェース)も大幅に改善していて、追ってくるライバルを引き離す武器にしたい。
結局は、イノベーションこそが生き残りのための命綱になる。イノベーションのトリガーとなるのは、社会制度の変化、法制度の変化、情報技術の変化、顧客の価値観の変化の四つであり、すべてが外部環境だ。つまり、外部環境の変化を他社より少しでも早くキャッチして製品開発に反映させてきたからこそ、今のTKCがあるということ。その重要性は、現在も将来も変わらない。人材育成を含めて、イノベーションに果敢に取り組み続ける企業であらねばならないと思っている。