2030年には国内全新車に安全運転支援システムが?
「官民ITS構想・ロードマップ」では、まず安全運転支援システムと自動走行システムを、表1のように定義・分類した。簡単にいうと、運転者に注意喚起するための情報提供機能と、ハンドル、アクセル、ブレーキ操作のいずれか一つを自動車側が行う機能までが安全運転支援システム、それ以上の高度な自動運転を実現する技術が自動走行システムになるということだ。
それぞれのKPIも設定している。安全運転支援システムは、2020年までに国内車両の2割に関連装置・システムを搭載し、日本発の製品が、世界市場の3割を獲得すること、2030年までに関連装置・システムが国内で販売されるすべての新車に標準搭載されることを目指す。一方、自動走行システムは、2030年までに世界一のシェアを獲得することなどを目標にしている。
自動走行システムの市場化期待時期も明示
安全運転支援システムについては、すでに多くの自動車メーカーから、自動ブレーキなど、安全運転支援機能を備える自動車が販売されている。ロードマップでは、これから本格的な技術開発と普及を目指す自動走行システムについても、段階ごとに市場化が期待できる時期を明示した(詳細は表2を参照)。
2015年度事業では、経済産業省と国土交通省が共同で、安全運転支援システムを高度化するための自動車と自動車をつなぐ通信技術を実証する。また、自動走行システムの実現に向けた技術基盤整備のための施策として、経産省が、地図情報と連動する高機能な車載センサや、セキュリティ技術の開発などに取り組む。
いずれにしろ、目標実現への道のりは始まったばかり。米グーグルなども自動運転技術の開発に本腰を入れるなか、どの程度実りのある成果を生み出せるかは未知数といわざるを得ない。(本多和幸)