“社会的抵抗感”の軽減を目指す
「眼鏡型ウェアラブル端末」ならぬ「首掛け型ウェアラブル端末」が登場した。テレパシージャパン(鈴木健一代表取締役)が開発しているもので、この3月をめどに、まずは企業で使う業務用として販売をスタート。この夏には一般ユーザー向けの販売を目指している。すでに一部開発者向けの評価機を昨年12月から提供しており、最初の販売ターゲットである業務用アプリケーションなどとの連携や検証が進んでいる最中だ。

「Telepathy Jumper」の外観 米グーグルの眼鏡型ウェアラブル端末「Google Glass」事業の見直しが伝えられるが、その不調の理由の一つに、カメラやマイクなどさまざまなセンサを内蔵するデバイスを、常時、顔につけていることに対する“社会的な抵抗感”があったとみられている。テレパシージャパンは、こうした眼鏡型ウェアラブルの現時点における問題点に早い段階から気づいており、自ら開発したウェアラブルでは「必要なときに手軽に装着でき、そうでなくなったら鞄にしまっておける」(テレパシージャパンの鈴木代表取締役)ように考案。結果、導き出された形状が「首掛け型」というわけだ。
テレパシージャパンが開発した「Telepathy Jumper」は、(1)映像の表示部分や各種センサ、(2)形状を変えられる首掛けケーブル部分、(3)バッテリ兼リモコンの三つのモジュールで構成されている(写真参照)。

「Telepathy Jumper」を首に掛ける鈴木健一代表取締役 具体的な用途としては、例えば風光明媚な観光地で、おもむろにTelepathy Jumperを取り出し、首に掛ける。内蔵のカメラで美しい景色を撮影し、リアルタイムに遠隔地にいる友人や家族と映像を共有することも容易だ。周囲の雰囲気に合わせて、取り出したり、鞄にしまったりすることで、前述の“社会的な抵抗感”を最小限にとどめている。かつ、従来の手持ちのカメラと異なり、手に持たなくて済むのはもちろん、眼鏡型ウェアラブルの最大の特徴である“ユーザーの視線を共有”できる。
業務用途では必要に応じてカスタマイズも可能だ。常時、ヘルメットをかぶって作業をする設備保守などの用途では、(1)のディスプレイやカメラ部分をヘルメットに固定し、(3)のリモコンとバッテリを作業服のポケットに入れて使うといったことも想定している。小売業などの接客で使う場合は、カメラと顧客データベースを連動して、購買履歴を呼び出したり、リモコン部分をPOS連動端末に取り替えるなど「Telepathy Jumperの基礎技術を応用することで、顧客専用の端末へとつくり込むニーズも取り込んでいきたい」と、市場のニーズに柔軟に対応していくことでビジネスを伸ばす。(安藤章司)