米IBMは、チャネルパートナーに「ハコ売り」からソリューション提案へのモデルチェンジを促すべく、社内のチャネルパートナー担当部署を「The One Channel Team」として一つの組織に統合した。日本IBMやそのパートナーにはどんな影響が出るのか、グローバルのパートナー戦略を統括するマーク・デュパキエ・グローバル・ビジネス・パートナーズ担当ゼネラル・マネージャー(GM)に聞いた。(本多和幸)
マーク・デュパキエ
グローバル・ビジネス・パートナーズ担当ゼネラル・マネージャー
──The One Channel Teamは、日本での事業には具体的にどんな影響をもたらすのか? デュパキエ まずIBM社内の話をすると、日本では、日本IBMの浅利信治・常務執行役員パートナー事業・アライアンス事業本部長が、グローバルでの私と同じ役割を果たすことになる。彼には、The One Channel Teamとしてのマネジメントシステムをきちんとつくってほしいとお願いしている。各事業のリーダー同士がコミュニケーションをとって、日本IBM全体の大きなチャネル戦略を話し合う場をセットしてほしいということだ。
また、浅利常務には、既存パートナーのプロファイルとグルーピングをあらためて行うようにも指示している。ご存じのとおり、われわれは「CAMS(クラウド、アナリティクス、モバイル、ソーシャル、セキュリティ)」という新しい成長領域を重視していて、どのパートナーに重点的に投資すべきかを考えるとともに、IBM社内のリソースの振り分けも、それと整合させる必要がある。
──どんなパートナーを重視するのか? デュパキエ CAMSに関連する成長領域で、強みのあるソリューションをもっているパートナーを見極めていかなければならないと考えている。その意味では、SIerとの協業がとくに重要だ。さらに細かくいうと、業種・業界に特化したスキルや経験値をもっているパートナーをより重視する。
──ハードウェアを中心としたIBMの従来パートナーは、こうした変革についてくることができるか? デュパキエ 近年のIBMの変革に対して、彼らの抵抗がなかったとはいわない。しかし、多くのパートナーは、今までのやり方を変えなければならない時期に来ていることに気がついているのも事実。過去のような「ハコ売り」では市場に許してもらえない状況になっているからだ。
従来のハードのパートナーにも、ソフト、クラウド、サービスを組み合わせ、顧客に付加価値を提案するビジネスに移行してもらう必要がある。さらに、ツイッターとの提携などの成果として、モバイルやソーシャル分野の商材もこれから充実してくる。市場が拡大し、パートナーとの協業の比重も高まっていくだろう。こうした商機をつかんでもらうためには、パートナー自身にも、人材への投資、スキル習得への投資をしてもらわなければならないことを、継続して訴えていく。
──クラウドという観点では、ハードの既存パートナーにとって、IaaSの「SoftLayer」が「Power Systems」にいつ対応するかも重大な関心事だが。 デュパキエ 開発意向表明はしているので、「近いうちに」と申し上げておく。