
NTTデータイントラマート
大森茂樹
副本部長 マイナンバー(社会保障・税番号)については、大半の中小企業にとって、事務的な負担はそれほど大きくない見通しである。システム面におけるマイナンバー対応は、業務パッケージソフトベンダーが今年10月のマイナンバー配布に間に合うようにバージョンアップして制度に対応してくれるため、こうした業務パッケージソフトを使っている多くの企業は、番号の扱いにさえ留意すればいい。
ただし、これは「正社員中心の中小企業」の話である。数万人規模の従業員を抱える大企業で、人事・給与システムを独自に構築しているケースや、入れ替わりが激しいパート・アルバイトが従業員の大半を占める流通・サービス業、あるいは個人事業主を活用した訪問販売会社、通訳や識者など専門家への仕事の依頼が多い会社などでは、既存の人事・会計ソフトだけでは対応しきれない“例外的な処理”が、予想以上に多発する見込みだ。
例えば、ある訪問販売会社は、営業リソースとして数万人の個人事業主を活用しているが、個人事業主は「従業員」ではないので、人事・給与システムでなく、独自に構築した販売管理システムで管理している。また、通信教育を手がける教育サービス会社も、講師に個人事業主を多数起用しており、先の訪問販売会社と共通の課題を抱える。別の流通・サービス業は、古い汎用機から引き継いだ給与システムが現役で稼働しており、期日までのマイナンバー対応は極めて困難な状況に直面しているといった具合だ。
ここに着目したのが強力なワークフローエンジンを実装したシステム共通基盤「intra-mart(イントラマート)」を開発するNTTデータイントラマートである。同社は、既存の人事・給与、販売管理などの基幹系業務システムに手を加えることなく、マイナンバーの収集・管理のワークフローだけをintra-martをベースに切り出して、低コスト・短工期でマイナンバーに対応させる仕組みを独自に開発した。
前述の通り、「正社員中心の中小企業」は、業務パッケージソフトベンダーが通常の制度対応と同じ要領でバージョンアップ対応してくれるので、少なくともマイナンバーに関してはintra-martの出番はほぼないといっていい。実は、NTTデータイントラマート自身も業務パッケージソフトの対応で十分だと当初はみていたが、「昨年末頃からユーザー企業へのヒアリングをしてみたところ、パッケージソフトベンダーだけではどうしようもないケースが多いことがわかってきた」(NTTデータイントラマートの大森茂樹・営業統括本部セールス&マーケティング本部副本部長)と振り返る。
そこで、NTTデータイントラマートでは、既存の基幹系システムとは別にマイナンバーの収集と管理、法定帳票の出力までを専門的に担う「intra-mart Accel Kaiden! マイナンバー」を開発。intra-martが実装しているワークフローエンジンにマイナンバー処理のテンプレートを載せることで、基幹系システムに手を加えることなくマイナンバーへの対応を可能にした。(つづく)(安藤章司)