前号に続いて、NTTデータイントラマートのマイナンバー(社会保障・税番号)対応をレポートする。同社は強力なワークフローエンジンを実装したシステム共通基盤「intra-mart」を応用することで、マイナンバー処理の部分だけを別のフローに切り出す施策に出た(図参照)。
これをSIerをはじめとするITベンダー側からみれば、“例外的な処理”が必要なユーザーを、いかに手離れよくマイナンバーに対応させ、できることなら自社の大切なユーザー企業すべてがマイナンバー対応に間に合うようにしたいもの。しかし、実態を取材してみると、「間に合わないケースが出かねない」(大手SIer幹部)状況だ。
intra-martを例に挙げてみよう。intra-martはすぐれたワークフローエンジンをもち、短期間のうちにマイナンバー絡みの例外処理をこなす。だが、intra-martの扱いに精通した販売パートナーが仮に100社いたとして、うち有効に活動できるのは、人事給与システムやマイナンバーにも積極的に取り組むパートナーに限られる。ユーザー側で要件を絞り込めないケースが出てくるとすると、さらに時間を費やしてしまう。
実は、この6月からグループの総力を挙げてマイナンバー対応支援に乗り出したキヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)グループも、マイナンバーの収集と管理を担うシステムから、ユーザー企業がもつ人事給与システムへのつなぎ込み、あるいは自動的なデータの流し込みには「あえて対応していない」(キヤノンMJの蜂屋武司・BS直販統括部門特販営業部上席)と話す。理由の一つには、ワンクッション置いて、マイナンバー管理者の目で、マイナンバーが本人のものかどうかを本人確認書類などと突き合せて確認しなければならない業務フロー的な意味合いがある。
そしてもう一つは、多種多様な人事給与システムへのつなぎ込みをベンダーとして正式サポートするには、「あまりにも時間がなさすぎる」(同)という事情がある。あえて人事給与システムへのつなぎ込みをせず、CSVファイルなどで受け渡すことで、1社でも多くのユーザー企業が無事にマイナンバー対応を済ませられるよう全力を挙げる構えだ。まさに時間との勝負である。(安藤章司)