セールスフォース・ドットコムに続き、売上規模で世界第2位のSaaSベンダーになった米オラクル。オラクル製品ユーザーのビジネスをドライブさせる「攻めのIT投資」のためのクラウドアプリケーションを、「Oracle CX」(カスタマーエクスペリエンス)ソリューションとしてラインアップしている。前回紹介したマーケティング・クラウドはその代表格だが、販売プロセス管理ソリューションの「Oracl CPQ Cloud」も、日本オラクルが拡販に注力し始めたOracle CX製品だ。(本多和幸)

多田直哉
執行役員
クラウドアプリケーション
事業統括 CPQ Cloudは、米オラクルが、2013年に米ビッグマシーンズを買収したことでオラクル製品のラインアップに加わった。CPQとは、Configure(構成)、Price(価格)、Quote(見積もり)の頭文字で、文字通り、製品構成、価格設定、見積作業の効率を向上させる営業支援ツールの一種だ。
例えば、グローバルでビジネスを展開し、非常に多種の製品・サービスを取り扱い、売り方や値付けなども地域によって変える必要があるような複雑なビジネスでも、複雑な製品構成の管理が容易で、顧客別・チャネル別の価格設定や値引き適用などもルールを決めて設定を自動化できるという。日本オラクルの多田直哉・執行役員クラウドアプリケーション事業統括は、「従来、法人のお客様から見積もりを依頼された営業担当者は、『こんな見積もり依頼をいただいたので、製品の構成確認と見積もり金額を出してください』という書類を手作業でつくってバックエンドのスタッフに渡し、依頼を受けたスタッフは大忙しで作業をしていた。それが、CPQ Cloudでは、クリックするだけで値引き承認まで行けるし、その後の見積書作成も自動化している」と、使い勝手のよさを説明する。おもしろいのは、ERPやデータベースソフトの分野で競合するSAPもCPQ Cloudのユーザーで、どの分野かは不明なものの、導入後1年でSAPの市場シェアが3%伸びたとしている。
まずは、通信、ハイテク業界を中心に攻略していく方針だ。こうした企業には、類似のシステムをスクラッチ開発で構築し、基幹系システムと連動させている例も多く、そのリプレースを狙う。CPQ Cloudも、CRMやERPと連携させることで、顧客情報の連携や注文処理・注文ステータスの情報を共有することができ、より網羅的な販売プロセス管理が可能になる。
こうした性質上、日本オラクルの直接販売のほか、ERPやCRMの導入経験が豊富なSIer数社による間接販売にチャネルを絞って、拡販に取り組む。例えば、製造業向けのERPパッケージベンダーで、オラクルのERPパッケージも扱うSIerでもある東洋ビジネスエンジニアリングは、CPQ Cloudの製造業向け導入支援サービスの提供をすでに開始している。