日立ソリューションズは、同社がもつ既存のパッケージソフトを巧みに組み合わせて、最短でマイナンバー管理に必要な「情報セキュリティ」や「マイナンバー関連業務の効率化支援」の構築に乗り出している。
マイナンバー管理の「情報セキュリティ」では、指静脈認証システム「静紋」や、情報漏えい防止の「秘文」、データベース監査ツール「PISO」などを組み合わせて不正アクセスを防止。
また、「マイナンバー関連業務の効率化支援」では、同じく同社の主力商材である就業管理システム「リシテア」のワークフロー機能や帳票閲覧機能、帳票作成ツール「EUR」、電子帳票管理の「活文」、グループ会社の日立ソリューションズ西日本が開発している人事給与システム「Hi-PerBT」シリーズなどを駆使して、マイナンバーの収集・管理の仕組みをつくりあげている(図参照)。
同社では、業界の先陣を切るかたちで今年4月にマイナンバー対応ビジネスをスタート。個別のシステム構築ニーズが高い従業員数1000人規模の企業をメインターゲットとして営業を始めたところ、ユーザーからの反響は予想以上に大きく、関連セミナーを開催すると「すぐに満員御礼になる」(日立ソリューションズの田富範之・ハイブリッドインテグレーションセンタHI開発部部長代理)と手応えを感じている。とはいえ、実際に受注が本格的に増えるのはこれからの見通しで、日立ソリューションズが当初から予測していた通り、「システム構築の期間はかなり限られてくる」(阿井一仁・HI開発部担当部長)とみられる。
既存のパッケージソフトを組み合わせることで、システム構築の期間を大幅に短縮する同社の戦略はほぼ正しかったわけだが、それでもこれから本格化する受注について、すべて2016年1月に稼働できるとは限らない。
例えば、パート・アルバイトの割合が多い流通・サービス業や、個人事業主を多く活用している訪問販売、教育サービスについては、2016年早々からシステムの稼働が強く求められるが、それ以外の人の出入りが比較的少ない正社員中心の会社であれば、実際問題として、16年の年末調整までに間に合うよう商談を進めるケースも出てくるとみられている。日立ソリューションズでは、マイナンバー関連商談で200~300案件ほどの受注を見込んでいる。(安藤章司)