「セキュリティオートメーション」を基本思想とし、運用の手間を最小限に抑えたことで人気を集めているソフォスのセキュリティ製品。とはいえ、セキュリティ技術は専門性が高く、説得力のある提案を行うためには一定のノウハウが必要だ。パートナー網の拡大に続いてソフォス日本法人が力を入れるのが、製品への理解をより深めるための教育プログラムだ。(日高彰)
かつてセキュリティ対策の主役だったウイルス対策ソフトでは、導入にあたって専門的な技術が求められることは少なかった。しかし、現在のソフォスはウイルス対策ソフト、UTM(統合脅威管理)アプライアンス、そしてクラウド経由で提供される管理機能や脅威情報を連携させることによって、ユーザーの運用負荷なしにセキュリティを担保できる「セキュリティオートメーション」を推進している。競合製品との違いをアピールするためにも、販売パートナーは製品のコンセプトや実装をよく知ることが重要だ。
ソフォスは日本で昨年春からパートナープログラムの本格運用を開始し、1年半で400社近いパートナーを獲得した。同社がフォーカスする中小企業市場を攻略するための第2の施策が、パートナー向け教育プログラムの充実だ。今年5月から国内でも認定資格制度を開始し、営業担当者向けの「Sophos Certified Sales Consultant」、技術者向けの同「Engineer」、上級技術者向けの同「Architect」について、日本語で受講および取得が可能となった。とくにEngineer資格では、学習が複数日にわたる充実した内容のトレーニング教材を用意しているが、オンライン受講であれば無償でプログラムを利用できる。
鈴木敏通・チャネル営業部部長は、「従来のウイルス対策製品は『他社より安くするので乗り換えてください』が売り込みの常套手段だったが、ソフォス製品は価格競争に巻き込まれることがない」と話し、製品をよく理解することが収益性アップにもつながるとの見方を示す。また「製品を一度使えば、本当に簡単に運用できると自信をもって提案していただける」とし、自社利用のための製品の特別提供も行っているという。
同社では、今後も中小企業を最優先に製品の普及拡大を図っていくが、鈴木部長はもう一つ注目している市場として医療を挙げた。「タブレット端末を使った電子カルテへのアクセス、地域での医療システムの統合といった動きがあり、従来クローズドネットワーク前提だった分野にも、セキュリティが求められている」からだという。半年を残して早くも今期の新規獲得目標をほぼ達成したが、開拓すべき市場はさらに大きく広がっているようだ。