SoR(Systems of Record)の構築にも十分に対応できるという「K5」の強みは、IaaSレイヤはもちろん、PaaSレイヤでも発揮されるという。この連載で何度も言及してきたとおり、K5が富士通のSIのノウハウを詰め込んだサービスなら、むしろPaaSでこそ本領を発揮すると考えるのが自然だ。(本多和幸)
PaaSレイヤでのK5の大きな売りの一つは、「システム自動構築サービス」だ。富士通のSEが、これまで顧客のシステム構築で蓄積してきた知見をベースに、システムの性能や信頼性などの要件からインフラの最適構成までを、自動的に設計・構築できる。中村記章・デジタルビジネスプラットフォーム事業本部副本部長は、「AWSをはじめとする既存のクラウドサービス、とくにIaaSは、誰もが簡単に使えるものではない。クラウド専門の知識をもっていて、慣れていないと、多様な構成のシステムをつくるのは難しい」と、指摘する。
もう少し具体的な説明をお願いすると、中村副本部長は次のように解説してくれた。「SoRに対応するためには、クライアントサーバーシステムで主流である3階層モデルのようなシステム構造をつくりたいというニーズが出てくる。一般的なIaaSは、すべてが同一階層に配置されるため、そもそも多層アーキテクチャにするだけでも難しいのに、そのうえでさらにオートスケールの機能を生かしたり、冗長化したりというニーズに応えるのはハードルが高い」。
K5のシステム自動構築サービスは、フラットな構成でも、3階層でも2階層でも、管理画面の「開発ポータル」から開発者がつくりたいモデルを選択するだけで、データの冗長化などを含んだかたちでシステム構成を定義できる。さらには、細かな運用条件やテスト環境、ソフトウェアスタックの定義もポータルから簡単にできるという。
そして、これらのシステム構造のイメージは、「ワークロードパッケージ」というバーチャルアプライアンスとしてK5上にワンクリックでデプロイ可能になり、マーケットプレイスに登録して販売もできる。「インフラの知識をまったくもっていなくても、すぐにアプリケーションを開発して実行でき、しかも、ライフサイクルをしっかりと保証できるかたちでのクラウド活用を実現する」と中村副本部長は話す。PaaSでのK5のメリットに絶対の自信をもっているようだ。