クラウド事業者にとって大きな課題の一つが、自社のクラウド基盤向けにサービスやアプリケーションを提供するソリューションパートナーの獲得だ。IDCフロンティアでは、クラウドにアプリマーケットのような仕組みを導入することで対応ソリューションを拡充していく。(日高彰)
IDCフロンティアのIaaS型クラウド「IDCFクラウド」では、ソリューションパートナーに選ばれる基盤となるため、「EcoAlliance」と呼ばれる新たなスキームを打ち出した。
これは、IDCFクラウドと、パートナーがもつソリューションをAPIで連携させることで、ユーザーがサーバー監視やセキュリティなどの外部機能を簡単に利用できるようにするものだ。仮想サーバーを立ち上げるとき、管理画面からパートナー提供の機能を簡単に選択できるので「『試しにサーバー監視機能も入れてみようか』という形で気軽に使っていただける」(霜鳥宏和・ビジネス開発本部パートナーセールス部部長)のが特徴だ。
まるでスマートフォンのアプリマーケットのような仕組みだが、それらと大きく違う点が二つある。まず、IDCフロンティアはさまざまなソリューションをユーザーに紹介するものの、それらの利用契約はあくまでユーザーとパートナーの間で直接行われる。また、EcoAllianceのスキームを利用してユーザーを獲得した場合も、手数料などの費用負担はない。同社の石田誠司・取締役カスタマーサービス本部本部長は、このような仕組みを採用したことについて「目的はパートナーをIDCFクラウドに呼び込むこと。売り上げや手数料はいただかないほうが早くスキームを立ち上げられるし、場の価値を高められる」と説明する。
ソリューションを提供するパートナーには、「『できるだけ無料で使える範囲を広げてください』とお願いしている」(霜鳥部長)という。まずは無償で試用してもらい、本格利用時には有償プランに移行する「フリーミアム」モデルの提供を、EcoAllianceへの参加条件とする予定だ。
また、ゲームや広告配信といったIDCFクラウドの既存のユーザーは、運用・管理のツールを自社で開発していることも多い。このスキームを利用すれば、従来は自社だけで利用していた内製のツールを外販し、新たな収益源にすることも可能になる。
EcoAllianceは、すでにIDCFクラウドと連携している一部のパートナー向けに提供を開始しており、今年中にはアプリケーションやサービスの募集を本格化する予定。石田取締役は「暗号化とバックアップなど、パートナー同士で連携可能なソリューションもあるのではないか」と話し、パートナー間で新たな価値を生む場としても育てていく考えを示している。