独自技術を注入したプラットフォーム商材などを武器に、クラウド、IoTでの成長を目指す富士通だが、ITのすべての領域で欠かせないのがセキュリティだ。クラウド、IoT時代のセキュリティとはどうあるべきかという視点での、新たな検討と取り組みを始めている。(本多和幸)

太田大州
エバンジェリスト IoTが代表的だが、すでに私たちのまわりには非常に多くのセンサが配備されていて、そこから得られたデータはクラウド上に集約され、生産性の向上や新しい価値をもたらすサービスの創出などに活用されるようになってきている。多くのITベンダーが、「Digital」をビジネスのキーワードに掲げるようになったのも、これを反映したものといえよう。多くのユーザーに、データドリブンでビジネスそのもののあり方を考えていくという思想が浸透しつつある。
一方でこうした状況は、セキュリティの観点からは新たなリスクを呼び起こすことにもつながる。富士通の太田大州・グローバルマーケティンググループ統合商品戦略本部エバンジェリストは、「あらゆるものがインターネットにつながり、統制・制御できるというのは、裏を返せば誰もがどこからでも重要な情報やシステムにアクセスできる環境が存在するということ。もはやセキュリティは、単なる情報漏えいという観点ではなく、人命や企業の事業継続、安定した社会の構造・仕組みすら脅かす脅威になると捉えるべき」と指摘する。
富士通も、顧客に対して、サイバー攻撃が経営リスクであると捉えてほしいという啓発活動は積極的に行っているという。「個人情報だけでなく、知的財産、営業秘密情報などが盗まれている可能性があり、諜報活動の一種になっている。さらに、ウェブサーバーや業務システムのサーバーを攻撃して、事業そのものを停止させてしまうような事態も起こっている。IoTの世界に存在するセンサやモジュールに対する攻撃やハッキングもたやすくできる時代になっていて、企業が提供するさまざまな製品サービスに対する影響が危ぶまれる状況になっている」(太田エバンジェリスト)。
こうした状況を踏まえ、富士通が新たなセキュリティの考え方としてまとめたのが、「FUJITSU Security Initiative」だ。ポイントは、ICTシステムの“運用”に、コンテンポラリーなセキュリティ対策をいかに組み込むかだ。