富士通のサイバーセキュリティに対する取り組みでは、サービス開発と対になる人材育成にも注力している。2013年に運用を開始した「セキュリティマイスター認定制度」はその中核となる施策だ。(本多和幸)
セキュリティマイスター認定制度は、サイバーセキュリティに関するスキルをもった富士通グループの人材を発掘・育成するための社内認定制度だ。システム開発や運用の各場面に求められるセキュリティ技術を想定し、大きく三つの領域の人材モデルを定義した(図参照)。簡単に説明すると、「フィールド領域」の人材はセキュリティに詳しいシステムエンジニア、「エキスパート領域」の人材はセキュリティの専門技術者、「ハイマスター領域」の人材は非常に高度なセキュリティ専門技術者という位置づけだ。
各領域の人材モデルは、さらに細かく分類されている。例えば、フィールド領域には、システム構築開発部門に籍を置き、現場のセキュリティのつくりこみなどを担当する「システムセキュリティエンジニア」、そして、システム運用部門に籍を置き、システムのセキュリティ運用設計を担当する「セキュリティインシデントハンドラー」という2種類の人材モデルを設定している。
一方でハイマスター領域は、ホワイトハッカーに相当する人材モデルを定義しているが、細かくみると、人材モデルは四つに分かれる。組み込み系の開発部門に籍を置き、セキュリティに関する知識はそれほどでなくても、ローレイヤ技術に関する深い知識をもち、独自の研究や発信活動を行う「コードウィザード」。その上位人材の「コンピュータウィザード」、「グローバルホワイトハッカー」。そして、重大なインシデント発生時に対応チームを指揮し、顧客のCIOなどに適切な助言ができる「シニアセキュリティコーディネーター」だ。
富士通は、2016年度(2017年3月期)中に、セキュリティマイスターを合計で700人(うちフィールド領域580人、エキスパート領域100人、ハイマスター領域20人)認定するという目標を掲げている。