クラウド型ウェブ会議ソリューション最大手のブイキューブが、パートナー経由の提供を強化している。クラウドサービスは、販売代理店にとっては必ずしも扱いやすいとはいえない商材だが、会議システムをアプライアンス形態にしつらえた「V-CUBE Box」が昨年の発売以来好評を博しているという。(日高彰)

間下直晃
代表取締役社長CEO
ブイキューブでは、ウェブ会議システムは社内会議用にとどまらない「ビジュアルコミュニケーション」のプラットフォームであると訴求しており、セミナー、ユーザーサポート、遠隔教育、遠隔医療といったさまざまな用途での展開を図っている。間下直晃社長は、「長期的に考えると、B2BのIT市場においてはパートナー中心のビジネスになることは間違いない」と話し、当初直接販売が主だった同社のサービスも、年を追うごとにパートナー経由での提供の比率が高まってきていると説明する。
しかし、ウェブブラウザやモバイルアプリから簡単に使えるサービスであるだけに、販売パートナーにとっては売り上げのボリュームを稼ぎにくいという点が課題だった。間下社長は、「代理店ビジネスのなかでのクラウドサービスは、必ずしもうまくいっているとはいえない」と指摘し、販売の現場では単価の安いクラウド型のウェブ会議よりも、専用機器を設置するタイプのテレビ会議システムのほうが優先的に提案されているのではないかという見方を示す。
そこで同社が昨年10月に発売したのが、端末、カメラ、マイクスピーカー、リモコンをセットにし、端末をモニタとインターネットに接続するだけで、簡単にテレビ会議を行うことができるアプライアンス「V-CUBE Box」だ。発売直後から多くの引き合いが寄せられており、すでに複数の企業に導入されているという。
専用機型のテレビ会議製品は有力なグローバルベンダーも多い市場だが、V-CUBE Boxはウェブ会議システムをベースにし、汎用のハードウェアを利用しているため、専用機に比べコストが大幅に安いのが特徴。「他社のテレビ会議システムと同じ予算で3~4倍の台数が導入できる」(間下社長)ため、従来は主要支社にしかテレビ会議システムを設置していなかった企業が、V-CUBE Boxの導入によって、全営業所のオンライン会議対応にする動きも出てきているという。
アプライアンス型の商品としたことで、販売パートナー側にとっては成約時にまとまった売り上げを立てられることがメリットにもなる。ブイキューブとしては、V-CUBE Boxを導入する拠点が増えれば、モバイルアプリなど同社の他のサービスの利用が活発になることが期待できる。また、会議室に常設しリモコン操作だけですぐに使える製品はユーザーからも求められていた。まさに、つくり手、売り手、使い手の三方良しを実現する新商品といえそうだ。
さらに、冒頭で挙げたようなウェブ会議システムの新しい用途を開拓するため、同社では各業界のサービス事業者とのパートナーシップも拡大している。(つづく)