製造業の大手企業を中心にクラウドの採用が活発化している石川県。大都市よりも、IT化に対する取り組みは2年遅れているといわれていたが、その差は縮んでいるという。石川県金沢市に本社を置くシステムサポートの能登満・専務取締役に聞いた。(畔上文昭)
大手製造企業が市場を牽引
金沢のほか、東京と名古屋、大阪に拠点を置くシステムサポート。大都市圏に拠点を構えていることから、金沢におけるクラウドの普及状況については、客観的に判断できる。

システムサポート
能登 満
専務取締役 「金沢の企業はシステムを長期間で利用する傾向があり、クラウドの普及もゆっくり進んでいる。そのため、クラウドを採用するのは大手製造企業が中心だったが、ネットワークが整備されたことにより、今後の展開に期待している」と、能登専務は金沢の状況について語る。最近になって、ようやく光回線が行き届くようになったという。地域のSIerも、クラウドに取り組む動きが活発化しているとのことである。
ちなみに、セキュリティに最も敏感な業界の一つである医療業界は、システムサポートの事業ドメインでもある。同業界におけるクラウドの取り組みについて能登専務は、「200床未満の中小規模の病院は、イニシャルコストに敏感。高額なIT投資に慎重になる傾向があるため、イニシャルコストを抑えられるクラウドが向いている」と考えている。電子カルテシステムなどの事例が出始めているため、横並びで一気に普及することも期待される。
IoTでクラウドが普及
海上輸送の便がいい北陸は、伝統的に製造業が盛んである。製造業で注目されているIT活用といえば、IoTだ。
「製造業は、IoTに対してすごく興味をもっている。IoTではクラウドの活用が最適。そのため、IoTをきっかけにクラウドが普及していくのではないか」(能登専務)。同社においても、製造業を中心にIoTの事例が増えているとのこと。最近では、機械にセンサを設置し、スマートフォンでその機械を動かすシステムを構築した。
「IoTではセンサからデータを集めてビッグデータ化し、そのデータを分析するといった流れになる。データ量が増えればスケールなどの柔軟性が必要となる」ことから、能登専務はIoTをクラウド向きだと考えている。
IoTをきっかけにクラウドへの理解が進めば、その他のシステムの状況も変わってくる。実際、「オフコンで構築したシステムをクラウドに変えたい」という要望が出てきていると能登専務。今後の展開を大いに期待している。