製造業を中心に好景気ムードにある東海地区。IT投資への意欲も強く、案件過多で慢性的なエンジニア不足の状況にある。新しいITには慎重な地域とされるが、製造系や物流系ではIoTに対する注目度が高く、クラウドもその流れに乗って拡大することが期待される。(畔上文昭)
まずはIoTを提案

グローバルワイズ
伊原栄一
代表取締役 「名古屋はIT投資に慎重な地区。新しいものに対しては、ある程度の普及を待つ傾向にある。逆に事例が出てくれば、一気に波及することも」と、グローバルワイズの伊原栄一代表取締役は語る。名古屋市に本社を置くグローバルワイズは、EDI関連事業とシステム開発事業、AWS(Amazon Web Services)の環境構築や移行支援の事業、そしてIoT向けのパッケージ製品も手がけている。なかでも今後の展開を期待しているのが、IoTだ。
「IoTは、見える化への取り組みで活用できるなど、製造や物流の分野で注目度が高い。IoTはクラウドの活用が大前提となるという点でも期待している」と伊原代表取締役。クラウドが大前提となる理由として、センサから取得するデータ量が把握しにくいのと、導入効果が未知数なことが挙げられる。「実証実験的に始めて、一部のラインで効果をみてから、全体に広げていく傾向がある。こうしたスモールスタートには、クラウドが向いている」ことも、伊原代表取締役がIoTにはクラウドが最適とする理由である。
製造業では設計図などの機密情報を社外に出すことを嫌がるため、クラウドの採用に慎重になりがちだった。IoTでは、センサから送られてくる信号を扱う程度であることから、ユーザー企業も問題はないと判断するという。IoTをきっかけに、クラウド採用の範囲が広がるとして、伊原代表取締役は今後の展開に期待している。
Pepperでクラウドを活用
グローバルワイズは、ソフトバンクロボティクスの人型ロボット「Pepper」を活用したソリューションの開発も手がけている。
「コミュニケーションロボットは、しゃべるIoTデバイス。インパクトが大きいこともあって、ユーザー企業の受けがいい。工場でも人手不足の解消への期待から、Pepperを活用した実験が行われている」と、伊原代表取締役は手応えを感じている。Pepperを扱うときのポイントは、データ領域でクラウドを活用するところにある。接続環境が整っているため、Pepperでは、クラウドを使いやすいという。
保守的な地域との判断から、IoTのような新しい分野でクラウド普及のきっかけをつくる。Pepperへの取り組みも、その一つというわけだ。