「この1年でクラウドに対する認識が大きく変った」と、Fusicの横田宏大・事業推進部門マーケティングチームマネージャーは福岡のクラウド事情を語る。多くの企業が新しいものを避けがちな地域と感じていたが、提案がしやすくなったと肌で感じるようになってきたという。(取材・文/畔上文昭)
新しい取り組みにはクラウド
自社サービスでAmazon Web Services(AWS)を活用しているFusic。その理由について、横田マネージャーは「当社が提供しているサービスは、止められないというのが絶対条件。そのためにどうすべきかを検討したところ、クラウドに行きついた。クラウドでは安定した稼働環境が得られ、可用性も高い」と語る。

Fusic 横田宏大 事業推進部門マーケティングチームマネージャー
自社サービスで得たノウハウを生かし、ウェブ系のシステム開発を中心にクラウドの活用を提案している。「オンプレミスからクラウドへの移行案件も、徐々に増え始めている。ただ、当社としては、ウェブ系で、かつスクラッチの開発を強みとしているため、そちらを押している」とのこと。クラウドのメリットは、「余分な投資が不要なこと」「その分のコストを開発にまわせること」「IT資源が必要に応じてスケールできること」であるとの考えから、横田マネージャーはスクラッチ開発に向いていると判断している。
同様の考えから、IoTにおいてもクラウドが向いているとして、取り組みを強化している。その第一弾が、11月にリリースを予定している「mockmock」。IoT開発に携わるウェブエンジニアを対象としたサービスで、クラウド上に仮想デバイス(mock)を作成し、対象サーバーに疑似データを届けるというもの。「IoTデバイスがなくても、サーバー側でIoT環境のテストやシステム構築ができる」ため、横田マネージャーはクラウドのスピード感に合ったIoT関連のシステム構築が実現できるとしている。
また、何かと話題のAI(人工知能)についても、クラウドが活用されるようになるとみている。「新しい取り組みにはクラウド」が横田マネージャーの考えだ。
今後は韓国進出を模索
福岡は韓国に近い。Fusicには韓国出身のエンジニアがいることもあり、今後は韓国への進出も目論んでいる。「クラウドは、地域に関係なく利用できるのがメリット。韓国はAWSのリージョンができて間もないので、これから認知度を上げていくという段階にある。そのため、当社にもチャンスがあると考えている」と横田マネージャー。日本でも、国内にリージョンができてから普及が加速したことから、韓国での今後の盛り上がりに期待している。