ここに注目!ニッポンのパートナー戦略
<ここに注目!ニッポンのパートナー戦略>第52回 F5ネットワークス 既存パートナーとCIerのマッチングを促進
2016/11/16 16:04
週刊BCN 2016年11月07日vol.1652掲載
ロードバランサ大手のF5ネットワークスが、クラウドインテグレータ(CIer)との協業を加速している。企業によるパブリッククラウドの利用が拡大し、クラウド環境でもF5製品の需要が高まっていることから、CIerがクラウドの扱いに慎重な既存のF5パートナーを“側方支援”するモデルを確立しようとしている。(取材・文/日高 彰)
F5ネットワークスは10月18日、新たなパートナー制度の「F5 クラウド パートナー プログラム」を開始した。このプログラムは、クラウドを活用したITインフラ構築を得意とするITベンダー、いわゆる「CIer」を対象としており、開始時点ではISAO、クラスメソッド、サーバーワークス、FIXERの4社が初期パートナーとして加わっている。当面はAWSとAzureの取り扱いに長けたCIerを募っていく方針だ。
AWSをはじめとする大手クラウドサービスには、ほとんどの場合ロードバランサやWAF(ウェブアプリケーションファイアウォール)の機能がサービスとして用意されており、ユーザーがあえてF5の「BIG-IP」シリーズを導入する必要はないようにみえる。にもかかわらず、クラウド環境で同社製品の需要が高まっているのにはいくつかの理由がある。
最もわかりやすいのは、すでにBIG-IPを利用して運用しているオンプレミスのシステムを、クラウドへ移行するケースだ。この場合、クラウドにBIG-IPの仮想アプライアンスを導入すれば、従来オンプレミス環境で運用していたBIG-IPの設定をそのままクラウドに適用でき、アプリケーションの改変も不要。「クラウドへ移行しても変わらず動く」ことを気にするユーザーの不安要素を取り除き、スムーズなクラウド移行が可能になる。
また、ハイブリッド/マルチクラウド環境が一般的になるなか、分散するITインフラのそれぞれにBIG-IPのハードウェアや仮想アプライアンスを導入することで、「できるだけ構成や運用手順を共通化したい」「セキュリティポリシーを統一したい」というニーズにも対応できる。F5ネットワークスの帆士敏博・ビジネスディベロップメントマネージャは、「企業によるIT導入がIT部門主導から事業部門主導に変化しつつあり、事業部門の使いやすいところにアプリケーションを展開したいという要求が高まっている」と説明する。
しかし、オンプレミスの提案を主力としていた従来のITベンダーは、クラウドの提案にまだまだ慎重なことが少なくない。クラウド採用のリスクを正確に算出できないことから過大な金額の見積もりを提示してしまい、顧客を他社に奪われるという話も聞かれる。
今回F5がCIerに特化したパートナー制度を立ち上げた背景にも、既存のF5パートナーによるクラウドへのBIG-IP導入が、市場ニーズの盛り上がりに比べ低調という危機感があるようだ。ただし、この新プログラムは既存パートナーからクラウドパートナーへのシフトを意味するのではなく、両者のマッチングを目的としているのが特徴だ。従来のF5パートナーは顧客との窓口、製品販売を継続して担当する一方、クラウド特有のノウハウが求められる部分についてはクラウドパートナーの支援を受けられる。一方のクラウドパートナー側は、新たなビジネス機会とF5製品の取り扱いノウハウを得ることができ、補完的な関係となっている。F5では、来年末までに20社のCIerとのパートナー契約を目指している。
ロードバランサ大手のF5ネットワークスが、クラウドインテグレータ(CIer)との協業を加速している。企業によるパブリッククラウドの利用が拡大し、クラウド環境でもF5製品の需要が高まっていることから、CIerがクラウドの扱いに慎重な既存のF5パートナーを“側方支援”するモデルを確立しようとしている。(取材・文/日高 彰)
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