日本情報技術取引所(JIET)には、次世代を担う若手の交流などを推進する青年委員会がある。一般的な業界団体は、経営層の集まりとなっていて、委員会などの顔ぶれも役職者がほとんど。現場で活躍する若手が、業界団体を通じて横のつながりをつくることは少ない。また、外出の機会が少ないエンジニアは、現場にこもりがちになる。仕事では、横のつながりをつくることが難しい。そこでJIETは、若手自身のスキルアップや人脈形成の場が必要と考え、青年委員会の活動をスタートさせた。
神奈川支部発で全国へ
青年委員会の設立は、2015年6月。設立のきかっけは、神奈川支部で取り組んでいた「若手交流会」にある。若手交流会を企画したのは、神奈川支部の副支部長でもある池邊和孝・青年委員長だった。

青年委員会のメンバー
前列真ん中が、池邊和孝・青年委員長
「どの業界団体に行っても、役職者ばかりで若い人がいない。自分が浮いているように感じた。活躍している若手は、会社のなかにいる。彼らも、横のつながりをつくったり、情報交換をしたりしたいはず」。その思いを若手交流会としてかたちにした。最初の若手交流会は、参加者が10数人。意外と盛り上がった。
回を重ねるうちに参加者が増え、「若い人が集まるおもしろい企画がある」と話題になり、埼玉支部から若手交流会を実施したいとの声がかかった。神奈川支部と埼玉支部が若手交流会を実施すると、首都圏合同での開催の話になるなど、横に広がっていく。
「最初は、若手が引き抜かれるのではというような意見もあったが、そういったこともなく、若者同士の交流が盛り上がった。埼玉支部と合同の若手交流会も好評で、これからのIT業界を担う次の世代に役立つのであれば、今のうちに取り組み始めよう」ということで、全国へ展開するために、JIETの委員会として活動を開始した。
池邊委員長の思いは、次の青年委員会の活動目的に込められている。「最前線で活躍される元気な若手同士の交流(コミュニティ形成)を行い、仕事に対するモチベーションアップとスキル向上を目指し、さらには参加メンバー同士によるビジネス創出を目的としております」。現在では、首都圏だけで100名近くの若者が参加するようになった。

若手交流会後の記念撮影。回を重ねるごとに参加者が増えている
三つの部会を中心に活動
青年委員会の活動の柱は、大きく三つある。一つは、神奈川支部時代から続く「若手交流部会」。二つめは、女性の活躍を応援する「女史部会」。そして、三つめが「イベント部会」である。
若手交流部会は、これまで紹介してきた若手交流会の活動支援と全国に広めていくことを目的とした部会。すでに東海支部、北海道支部、千葉支部で実施していて、来年2月には東北支部での実施を予定している。東海支部では若手交流会が好評なことから、青年委員会の助けを借りずに、独自で運営するようになっている。北海道支部では、他団体の若手との交流も実施している。
女史部会は、青年委員会として、若い人の目線で女性の活躍を応援している。主な活動は、講師を招いてセミナーや座談会で、一方向ではなく、議論の場となることを心がけている。「国や自治体が女性の活躍を支援する方向にあるが、子育てやその後の職場復帰などでは、まだまだ課題が多い。また、女性が活躍できるかどうかは、会社の業績を左右する」と池邊委員長。女史部会は、そうした問題意識をもって取り組んでいる。
イベント部会は、JIETの総会と賀詞交歓会の運営を仕切っている。「若手は、こうした大きなイベントを仕切る機会がない。来賓のお出迎えや受付、案内など、勉強になることがたくさんある」と、池邊委員長。こうした活動から、交流が生まれることもあるという。また、若手向けにバーベキュー大会やクリスマスパーティなども開催している。「若者に出会いの場を提供するのが目的。男女で盛り上がるゲームなどを企画している」(池邊委員長)という。クリスマスパーティは、東京と名古屋で同時開催し、スクリーンでつなぐといった演出もしている。
今後について池邊委員長は、「既成概念にとらわれない若手ならではのアイデアを出し合い、もう一つのJIETをつくりたい。化学反応は必ず起こる」と期待している。