ストレージ大手のネットアップが、来年に向けたパートナー向け施策を発表した。オンプレミスからクラウドに分散するデータを同社の技術で一元的に管理できる点を訴求。取り扱いが容易なフラッシュとコンバージドインフラにフォーカスし、パートナーがより付加価値の高い提案を行えるよう環境を整備していく。(日高 彰)
ネットアップでは、企業のITインフラにおける今後のストレージのあり方として、「データファブリック」というコンセプトを提唱している。サイロ化された基幹系のアプリケーション、オンプレミスの仮想化基盤、パブリッククラウド、SaaSなど、さまざまなシステムの上に保存されているデータを、物理的な格納場所に関係なく一元的に管理し、ビジネスニーズに応じていつでも、どこからでもすばやくデータにアクセスできるストレージが求められるという考え方だ。
10月には、同社製品に搭載されるストレージOSの最新版「ONTAP 9」をリリースした。より大容量のデータコンテナに対応したほか、より高度な暗号化機能を備えるとともに、AWSおよびAzureに対応したクラウドデータ管理サービスなどを搭載している。同社のストレージ製品は、ハイエンドからエントリークラスに至るまで、またオンプレミス製品もクラウド製品も、共通のONTAP技術をベースに設計されており、企業全体にデータの可視性を提供できるのがポイントだ。

中山泰宏
専務執行役員 昨年11月からコーポレート営業本部長を務める中山泰宏・専務執行役員は「パートナー各社がもっているサーバーやアプリケーションと、『データファブリック』をつなぐ仕組みを提供するのがわれわれの役割。クラウドも敵ではなく、クラウドを含む企業全体のデータをいかにきちんと管理していくかが今後の提案のカギとなる」と話し、インフラの分散が進むほどパートナーの役割は重要になるとの考えを示した。
具体的な製品としては、フラッシュストレージの販売を従来以上に強化する。フラッシュメモリの価格下落にともない、性能が求められる大企業だけでなく、中堅企業においてもフラッシュストレージが受け入れられるケースが増えているという。より小型で消費電力を削減できるほか、物理的な動作部がないことから、システムとしての故障率はすでにフラッシュ製品のほうがHDD製品よりも小さくなっている。「もちろん容量単価ではまだHDDのほうが安いが、低価格化の勢いはフラッシュのほうが速い。今後は故障対応の負荷を削減するという意味でも、フラッシュ製品の役割はより重要になると考えている」(中山専務)。また、シスコシステムズのネットワーク機器およびサーバーを組み合わせ、検証済み構成として出荷するコンバージドインフラ製品「FlexPod」も、提案・保守を省力化できるソリューションとして強化を図る。
また、向こう1年の施策としては新規顧客の獲得に力を入れており、新規顧客との成約に至ったパートナーには実績に応じた追加還元を行っていく。従来パートナーへのインセンティブは年間の売上総額で決まっていたが、個別の案件にも還元を発生させることで、パートナープログラムのなかでも、ネットアップの戦略を明確化していく考えだ。