リコーが、従来モデルの4.3インチの操作パネルを10.1インチへと大型化し、A4カラー複合機に搭載したのは2015年。この大型のパネルは、操作パネルというよりタブレット端末だ。これがソリューション展開に一役買っている。
リコージャパンのソリューション展開を支えるのは、導入のハードルを下げる「RICOH アプリケーションサイト」だけではない。本体に備え付けた大型の操作パネル「MultiLink-Panel」も、その一つだ。
ソリューション(アプリ)をみつけ、ダウンロードしインストールする。スマートフォンやタブレット端末のアプリのようだ。MultiLink-Panelには、タブレット端末と同じようにOSを組み込んでいる。Android OSをベースに、独自にカスタマイズしたOSで、ユーザーインターフェースはAndroidタブレット端末そのものだ。タッチパネルを搭載しているだけではなく、直感的な操作ができるUIを採用している点も、ソリューション導入のハードルを引き下げた。
タブレット端末のような大型の操作パネル
AndroidベースのOSを採用した理由は、開発のしやすさもある。同社は、パートナー向けのソフトウェアデベロッパーズキッド「RICOH SmartSDK(SDK)」を提供。さらに、支援プログラムとして、連携ソフトウェアの開発や販売までをサポートする「RiDP(Ricoh Developer Program)」を用意した。アプリケーションベンダーはAndroidアプリの開発に近い環境で、サポートを受けながら、アプリケーションを開発できる。この二本柱で、アプリケーションパートナーの獲得を目指す。すでにSDKを提供した企業は、大手からベンチャーまで約700社に上るという。
こうした取り組みが功を奏し、16年末から17年にかけて、アプリケーションベンダーのサービスとの連携が次々と実現した。昨年11月にはオンラインストレージサービス「box」、12月には電子カルテ「きりんZERO」、今年に入ると、企業内の複合機を利用して社員の私的なコピーや印刷ができる「こんぷりんビジネス」をスタートした。さらに、2月17日には、出張・経費管理クラウド「Concur Expense」と連携し、経費精算・管理を効率化する「RICOH カンタン経費精算アプリ」の提供を開始した。
ビジネスソリューション事業本部 テクノロジーセンタージャパンの平岡昭夫センター長は、「OA用途のアプリケーションはすでに数多くある。今後は業務を改善するアプリケーションに力を入れたい。業種に特化した得意技をもっている企業にぜひパートナーになってもらって、一緒にやっていきたい」とアピールした。