複合機とは別に、クラウドサービスをすでに導入しているオフィスも多い。シャープも自社のクラウドサービスだけではなく、各社のクラウドサービスとの連携にも対応。「ネットワークプリントサービス」を使えば、外出先でもクラウドに保存したドキュメントの印刷ができる。
クラウドサービス「3sweb Sharpdesk Online」の画面
「顧客から他社のクラウドサービスと連携してほしいという要望が多かった」と話すシャープビジネスソリューション 新規事業統括部の織井努統括部長。顧客からだけではなく、クラウドサービスベンダーからの要望もあり、「Sharp OSA パートナープログラム」を結び、技術情報の開示だけではなく、ともに連携ソリューションの開発も進めている。現在対応しているのはマイクロソフトの「OneDrive」、グーグルの「Google ドライブ」、Box社の「Box」などだ。オフィスの複合機で資料をスキャンしてクラウドに保存し、外出先のコンビニの複合機で出力すれば、重い紙の資料を持ち歩かなくてすむ。
他社のクラウドサービスと複合機を連携させるには、専用のアプリケーションが必要だ。最近ではスマートフォンのようにアプリを追加できるシステムを導入するメーカーもあるが、シャープでは工場出荷時点でアプリケーションを組み込んでいる。「顧客側でアプリを追加できる仕組みは自由度が高く、優位性があるようにみえるが、シャープではセキュリティをより重視している。企業向けであることもあり、セキュアであることが重要だ。そのためクローズドなシステムを導入した」(織井統括部長)とこだわりをみせた。今後、対応するクラウドサービスが増えた場合は、ソフトのバージョンアップなどで対応する予定だという。
クラウドにドキュメントを保存すれば、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル端末での閲覧も可能で、モバイル端末から文書や写真を印刷できるので、ドキュメントの閲覧、印刷のためだけにPCを起動する必要がなくなる。デバイスにこだわらないので、外出先での利便性は高まりそうだ。
今後もクラウドサービスベンダーとのパートナーシップは進めていく方針で、クラウドを利用した名刺管理システムや経費精算システムとの連携も検討しているという。
シャープは複合機とクラウドを連携させることで本社と事業所、外出先のコンビニをつなぎ、情報を共有することで、業務の効率化、経費の削減をサポートしている。また、複合機だけではなく、クラウド型Web会議システムや電子黒板「BIG PAD」とも連携し、ペーパーレスオフィス、場所を問わないコミュニケーションの実現に貢献している。