社外にデータを置くクラウドだからこそ、解決できる顧客の困りごとがある。2013年に複合機と連携するクラウドサービスの提供を開始したコニカミノルタは、顧客に寄り添い、時には顧客の要望に対応できるよう既存のメニューをカスタマイズして提供する。
左から
コニカミノルタジャパン
ソリューション&サービス本部ソリューション&サービス企画統括部顧客ポータル推進部の藤原部長
コニカミノルタ
オフィス事業本部ITS事業部事業企画部マーケットプレイスグループの高嶋グループリーダー
インターネットやモバイル機器が普及し、ワークスタイルが変わっていく11年頃に、コニカミノルタは「クラウドを使った印刷やクラウドストレージが今後一般的になっていく」(オフィス事業本部ITS事業部事業企画部マーケットプレイスグループの高嶋生也グループリーダー)と予感していた。
その頃から複合機とクラウドを連携させることで、顧客の困りごとをどのように解決できるかを検討し始め、まずは顧客の困りごとのヒアリングから開始した。最初の複合機とクラウドの連携ソリューションとなったのが、京都大学医学部附属病院(京大病院)の事例だ。
11年に電子カルテシステムを導入した京大病院では、院内システムにつながっている端末からインターネットを閲覧することはできたが、セキュリティを保つためウェブサイトの情報などを印刷することができなかった。そのため、地域病院へ移る患者に、インターネットを使って病院を探してあげてもその場で出力できない、などの不便な点が多かったという。
院内システムのセキュリティを保ち、さらにシステムに手を加えることなくウェブサイトなどの出力を実現するため、クラウドにプリントデータを送信するシステムをつくった。こうした経験から生み出されたのが13年11月にリリースしたクラウドサービス「INFO-Palette Cloud」だ。業種を問わず使えるメニューを用意したが、顧客に合わせた既存サービスのカスタマイズも継続して実施している。
複合機とソリューションの販売を担当するコニカミノルタジャパンソリューション&サービス本部ソリューション&サービス企画統括部顧客ポータル推進部の藤原章部長は、既存パッケージに固執することなく「パッケージメニュー『bizhub essentials』をベースに顧客が抱えている困りごとを解決できるよう、サービスをカスタマイズして提案している」と話す。
コニカミノルタでは、単なるメーカーから脱却し、顧客によりフィットするものを提案できるサービスプロバイダへ変革しようとしている。高嶋グループリーダーも「複合機にどんどん機能を追加していくのはもう限界」と話す。複合機とクラウドを連携することでソリューション提案を強化しようという狙いもある。