複合機とクラウドを中心としたドキュメントソリューションは拡大しているが、やがて頭打ちになると予想される。複合機を中心とした新たなソリューションを展開するため、コニカミノルタはパートナーと新たな市場の形成に取り組んでいる。
IoTビジネスプラットフォーム「Workplace Hub」
複合機とクラウドストレージを連携し、スキャンデータをクラウドに保存する。多くのプリンタメーカーがクラウドストレージベンダーと協業し、サービスを展開している。コニカミノルタがBox Japanと手を組んだのは2014年のこと。05年設立の米Boxが日本法人を設立したのは13年8月だ。14年5月にBox Japanが「Box」の日本語版サービスを開始したとき、パートナーの一つに入っていたのがコニカミノルタだ。その後、15年11月にはBox Japanと共同でクラウドストレージサービス「Box for bizhub」の提供を開始した。
そもそもコニカミノルタは、海外のベンチャー企業との結びつきを強めており、米Boxも日本上陸前からつき合いがあったという。現在もディベロッパ向けサポートプログラムを用意し、複合機と連携しやすい環境を提供。オフィス事業本部ITS事業部事業企画部マーケットプレイスグループの高嶋生也グループリーダーは「パートナーとお互いの強みを生かし、将来的には新たな市場をパートナーとともに形成していく」と話す。
この新たな市場形成は、17年3月にベルリンで発表した「Workplace Hub」につながっていく。Workplace Hubは、オフィスのITインフラを一つに統合する画期的な企業向けITプラットフォームで、ひと言でいえば、サーバーを内蔵した複合機だ。IT管理者のいない中小企業でも使えるように、パートナーのアプリケーションをあらかじめインストールして販売する。高嶋グループリーダーは、「パートナーが増えればそれだけインストールできるアプリケーションが増え、顧客はいろいろなことができるようになる」と話す。
その一例として挙げたのが、複合機と健康管理デバイスとの連携だ。高嶋グループリーダーはこれはあくまでもイメージだと前置きし、「朝、出社したら複合機に設置したデバイスに指を入れ、血圧、体温などを測定し、健康状態を管理する。従業員の健康管理をしようとすると、一人1台のIoTデバイスが必要だが、Workplace Hubであればオフィスの複合機1台ですむ」と話す。「ドキュメントにとらわれない新たなソリューションを生み出していきたい」と高嶋グループリーダーは語り、現在はWorkplace Hub向けのパートナーを募り、秋に発売する予定だ。