視点

DXはBPRから始めよう

2021/05/26 09:00

週刊BCN 2021年05月24日vol.1875掲載

 奄美大島と藤沢の二地域居住を始めて早10年。昨今のライフスタイル中心な生き方へのシフトから多拠点居住に興味を持つ人たちが増えてきた。

 「実際に二拠点居住をやってみて困っていることは何ですか」と聞かれることがある。いくつか挙げる中で上位にくるのが郵送物だ。あらかじめ届く日が決まっているものは、そちらに送付先を指定しておくが、それ以外はいない場所に届いたりする。

 無駄だなと思うのが式の招待状や役所の会議の開催案内だ。重要なことなのでメールやメッセージングサービスでも通知はきている。お知らせという機能からすると、既に伝わっているので必要ない。紙資源や輸送コスト、人的コストもかけているので地球環境にも優しくない。

 前置きが長くなったが、今回のテーマは請求書。一般社団法人日本CFO協会が昨年12月から今年1月にかけて行った調査によると、テレワークが推奨される状況下で請求書業務(請求書の受け取り・送付・処理など)を理由に出社したことがあるかとの問いに、「多くあった」(43%)、「しばしばあった(週に1回程度)」(33%)と、実に76%の企業が請求書業務のために事務所に出社していることがわかった。

 経理として請求書は支払業務の重要なエビデンスなので受け取る必要がある。実際、私が所属する大学でも事務局はテレワークを行なっているが、経理だけは事務局に週に1回は行くことになっている。

 経理の方は出社して、請求書を開封し経理処理を行い、さらに電子データとして保管するためにスキャンも行っているとのこと。その工数もかなりの負担になるらしい。

 「請求データは、弊社指定のマーケットプレイスにご登録ください」という変革を行うと、テレワークを含めた働き方のバリエーションが増え、資源とエネルギーの利用を抑え、そもそも紙が無いのでスキャンする必要もない。

 BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)を行なわずして一部をデジタル化しても効率化は実現しない。DX=デジタルトランスフォーメーションも、ビジネスプロセスの変革が本丸で、そこにデジタル技術を活用するのが本筋。DXを言葉遊びで終わらせないためには、本腰を据えてBPRを行わなくてはならない。

 
サイバー大学 IT総合学部教授 勝 眞一郎
勝 眞一郎(かつ しんいちろう)
 1964年2月生まれ。奄美大島出身。98年、中央大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。同年、ヤンマー入社、情報システム、経営企画、物流管理、開発設計など製造業全般を担当。2007年よりサイバー大学IT総合学部准教授、12年より現職。NPO法人離島経済新聞社理事、総務省地域情報化アドバイザー。「カレーで学ぶプロジェクトマネジメント」(デザインエッグ社)などの著書がある。
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