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「eKYC」の用語解説、利便性の一方でセキュリティの不安も

2022/02/22 18:33

週刊BCN 2022年02月21日vol.1911掲載

 「electronic Know Your Customer」の略称で、直訳すれば「電子的に顧客を知る」となり、デジタル技術を活用した本人確認を意味する。主に運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなど顔写真と合わせてオンライン経由で提示し、身元を証明することが多い。従来は窓口での対面や郵送などで確認をする必要があったが、確認する企業側、利用者はともに手間がかかり、負担となっていた。しかし、近年、関連する法律が改正され、オンラインで完結する本人確認手法が認められるようになったことから、各ITベンダーが専用ツールやサービスなどを開発。各社それぞれに特徴や強みを有し、市場は拡大傾向にある。

 矢野経済研究所が2021年7月に公表した国内eKYC市場の調査結果によると、20年度の国内市場規模(事業者売上高ベース)は19年度比2.7倍の40億8300万円となり、予測では24年度に63億円にまで達するという。

 用途としては金融機関での口座開設、大口の現金取引、クレジットカードの発行、マッチングアプリの利用など多岐にわたり、大半は本人確認が法的に義務付けられているケースが多いものの、顧客の安全・安心確保などを目的に自主的に実施される例も散見される。

 エンドユーザーの利便性が高まる一方で、重要な個人情報をオンラインを通じて提供することに対し、情報漏えいや目的外利用などの観点から不安を抱く声も根強い。eKYC関連のツール・サービスを手掛けるベンダーには、技術的な対策や法令順守の徹底はもちろん、エンドユーザーへの丁寧な説明を行うべきとの意見もある。
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