セキュリティやコンプライアンスの確保に加え、単一の国や地域内で提供することによって他の国や地域の法令などの影響を受けないようにした、データに対する主権が担保されたクラウドサービスを指す。
ソブリンクラウドが注目される背景として、米国で2018年3月に成立した、政府が米国内に本籍がある企業に対し、米国外に保存されているデータも含めて開示要求を可能とする法律「CLOUD Act」や、EUの一般データ保護規則などがある。パブリッククラウド上のデータが意図せず開示されることや、国境を越えるデータ流通に対する規制などへの懸念が高まっている。
データの保護に加え、クラウド上に作成された仮想サーバーや仮想ネットワークを属性や、関連情報を管理するためのメタデータも含めて自国に置き、自社でコントロールすることも重視されつつある。仕組みについては、パブリッククラウドをベースとした国内SIerによる開発や、国内のクラウドプロバイダーとSIerが協力して検討していく流れが想定される。
ソブリンクラウドへの注目度が高い欧米諸国と比べ、日本では普及が遅れているといわれている。ただ、今後、官公庁などの公共機関や機密データ扱う金融、保険業界などを中心にニーズが高まるとみられている。
(大畑直悠)