視点
中国経済の読み方
2025/05/28 09:00
週刊BCN 2025年05月26日vol.2060掲載
街の景気はこの半年で格段に落ちている。彼はビジネスホテルに泊まったが、お客さんは四つ星ホテルに泊まった。この有名な四つ星ホテルにお客がいない。入室率が低く館内の冷暖房を止めて個室ごとにしている、食事もレストランのバイキングではなく日本の旅館のごとくホテルマンが部屋ごとに配膳する。お客さんの泊まった階は宿泊客が自分1人のみで怖かったと語る。隣りの五つ星ホテルは3カ月社員の給料が支払われていない。地方都市の高級ホテルの経営はもっと深刻なようである。
仕事の車は白タクを頼んだが、この運転手は昨年まである日系企業の社員、会社の撤退に伴い職を失い白タクを始めた。日本に15年勤務した経験があったため日本語が堪能で、現在日本企業専用の白タクで生活している。ただ、撤退した前の会社のアフターサービスの仕事を頼まれており、1週間に4時間ほどこなし、時給で手当てを受けている。
彼が新しい仕事を見つけようにも求職者は多い。社員が会社を辞めないため求人が極端に少なく、労働市場そのものが成立していない。リストラ後や大学を卒業しても仕事が見つからず、ぶらぶら状態の人は、どの家族にも存在するようである。
街を歩くと、混んでいるのは10元(200円)の弁当屋、20元(400円)のラーメン店だけで、普通の店はどこもガラガラである。特に少し高いが洒落たレストランやカフェは、お客がほとんどおらず閉店した店も多い。
日雇い労働者が口利き場に午前4時に集まり、求人を待つのは事実である。大学生の就職率も50%を切っており、今、中国では空前の日本への留学ブームである。日本は物価が安く、主な留学先のなかで一番就職が楽であるからだ。これが友人からの報告であった。
中国経済は、公式発表では経済成長率も、失業率も、ホテルの稼働率も、それほど問題がないように見える。しかし、それをそのまま信用できないところが中国経済の現実なのである。確かに一部においては薄日が見えだしたところもある。しかし、依然として相当に厳しく、まだまだ出口が見えないというのが正確なところではないか。
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